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手続きが大変、支給が遅い…「雇用調整助成金」は本当に使えないのか?

運用上の3つの問題点
書類を用意するだけでも大変、申請に時間がかかり、なかなか支給に至らない……。新型コロナウイルス感染症への経済対策の1つである「雇用調整助成金」制度の評判は残念ながらよくない。同制度を運用するに当たり、何が問題点なのか。それでも、企業が利用すべき理由とは? 社会保険労務士の佐藤敦規氏が解説する。

評判が芳しくない「雇用調整助成金」

新型コロナウイルス感染症に関する経済対策は複数あるが、その中で政府が最も力を入れているのは雇用調整助成金である。4月7日の緊急事態宣言および5月4日の延長宣言の安倍首相のスピーチの中でも雇用調整金助成金の拡充を明言していた。

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しかし、この助成金についての評判が芳しくない。制度が複雑すぎる、問い合わせをしても電話が繋がらない、窓口に相談に行ったところ三密の中、数時間を待たされた、申請してもほとんど支給されない……、といった記事がテレビやWebなどのメディアで報じられている。

これらの話は概ねその通りである。ただ申請してもなかなか支給されないという点については、補足する必要がある。

 

なぜ申請してから時間がかかるのか?

そもそも助成金とは、企業が納める雇用保険料を原資にして企業向けに用意された制度である。厚生労働省が管轄し、非正規社員を正社員に登用したり、育児休業制度を導入した会社に対するご褒美として助成される。

雇用調整助成金もその中の一つである。景気変動や災害などにより仕事がなくなり休業した場合、社員に休業手当を払えば、支払った休業手当の何割かを国が払ってくれるという仕組みだ。休業手当とは会社の都合で社員に休ませる際、支払う手当である。平均賃金の6割以上を払うことが労働基準法で払うことが義務つけられている。

休業手当を払えば無条件で支給されるものではなく、申請して要件を満していると認めれば支給される。リーマンショックや東日本大震災の際にも利用されてきた。

昨年までも働き方改革がなかなか進まない中小・零細企業の支援策として、政府は「キャリアアップ助成金」「両立支援助成金」などの助成金の利用を促していた。厚生労働省のホームページや労働局などで目にした人もいるかもしれない。