北朝鮮「対テロ非協力国」指定に「よど号」実行犯が寄せた見解

アメリカには関係ない問題なのに
伊藤 孝司 プロフィール

「よど号」グループの見解

私は、北朝鮮への「対テロ非協力国」の指定理由に「よど号」問題が入ったことについて、平壌の「よど号」グループにコメントを求めた。すると「私たちの見解」としてメールがすぐに送られてきた。

「よど号」グループの学習会(2014年9月撮影)

「私たちは『よど号ハイジャック』について、帰国に際しては逮捕、裁判を受け入れるとしています。私たちの帰国の障害物になっているのは、日本政府(警視庁)がでっちあげた『よど号・欧州・拉致逮捕状』です。この『拉致逮捕状』がある限り私たちは帰国することができません」

つまり帰国してハイジャックでの罪は償うが、拉致関与は冤罪であるので解決するまで帰国できないというのだ。

「朝鮮政府の私たちの帰国問題への立場は、帰国するか否かは本人の自由意思によるというもので、何ら私たちの帰国を阻むものではありません。『よど号ハイジャック参加の4人』の帰国を阻む非協力者は、朝鮮政府ではなく日本政府である、というのが私たちの見解です」

このことを説明するために、さらに2時間後、補足説明が送られてきた。彼らの、突然降りかかってきた火の粉を振り払おうという真剣さが伺える。

「ハイジャック時に『よど号乗務員と政務次官、赤軍派学生(私たち)を受け入れるよう』、朝鮮政府に要請したのは日本政府です。朝鮮政府はその要請を受け、人道的に入国を許可したものです」

それを裏付けるように、1970年にいきなりやって来た「よど号」ハイジャック犯を亡命者として受け入れた北朝鮮は、この問題を日本や米国との交渉カードとして使ったことはなかった。

凱旋門から見た平壌市内(2019年10月撮影)
 

こうしたことからすれば、「よど号」ハイジャック犯の「北朝鮮居住」の解決は、日本政府と「よど号」グループで行なう問題であり、米国にはまったく関係がない。また日本人拉致問題の当事者でもない米国が、日本政府の要求が実現しないことをもって北朝鮮を「対テロ非協力国」指定の理由にするというのは道理に合わない話である。