「ウィルスとの共存」を明言…フランスが選んだ「出口戦略」の中身

コンセンサスを重視しながら、段階的に
髙崎 順子 プロフィール

優先すべきは学校、企業、商業、交通、社会生活

前述の戦略を三つのポイントを重視して実行するにあたり、フランス政府は優先度の高い領域を五つ指定した。学校・企業・商業・交通・社会生活だ。そして各領域についても、防護の観点から定量・定性の細かい制約が設けられた。首相が演説の中で発表した例を引用しよう。

<学校・保育>
ー学校は1クラス15人まで、保育園は10人まで受け入れ
ー教諭、従業員はマスク着用必須
ー校内では6歳未満はマスク非推奨、6〜12歳は推奨、12歳以上は着用必須
ーアルコールジェル設置
ー再開時期の決定は感染状況・準備状況により、自治体が判断

<企業>

ー政府が60種類用意する、業種別の衛生指針の遵守
ーリモートワーク推奨、無理な場合は時差通勤推奨
ー休業を余儀なくされた企業の従業員向け休業支援金(手取りの84%)は、6月1日まで、政府の全額負担で継続

<商業>
ー指定の一部を除き全業種が5月11日より再開可能
ー店舗のサイズにより、入店者数を制限
ー社会的間隔を遵守し、難しい場合は従業員・顧客ともマスク着用必須
ー入店時のマスク着用が必須か否かは店主が決定

5月13日、ボルドーのZARAの前で開店を待つ人々〔PHOTO〕Gettyimages
 

<交通>
ー乗客のマスク着用必須
ー首都交通網は70%再開、その後段階的に100%運行に回復
ー社会的間隔を開けるために乗客定員数を減少
ータクシー、ハイヤーは運転席と後部座席の間にアクリル樹脂を設置し、それが難しい事業者の場合は運転者・乗客ともマスク着用必須

<社会生活>
ー人が集まる際は最大10人まで
ー自宅から100km圏内の移動は自由に可能。それ以上の距離は就業や家族に関する必須事態のみ許可され、国の書式による申請書を必携
ー図書館・メディア館は再開可能。美術館は小規模のみ再開可能
ー映画館・劇場・コンサートホール・市民ホール・公立祭儀ホールは6月1日まで再開不可
ー5000人以上の文化・スポーツ・商業イベントは9月まで開催不可
ー葬儀は20人まで参列可能。結婚式は延期要請。墓地は5月11日から再開可能