「ウィルスとの共存」を明言…フランスが選んだ「出口戦略」の中身

コンセンサスを重視しながら、段階的に
髙崎 順子 プロフィール

検査で判明した陽性者・接触者は、自宅もしくは専用ホテルで14日間隔離する。その際は説明・同意・支援を必須とし、「隔離は刑罰ではなく集団防護行動」と念を押した。新型コロナウィルスを忌むべき敵としてだけではなく、共生を余儀無くされた存在と認識したことが、「刑罰ではない」という表現から伝わってくる。

 

地域別に、段階的に

フランスの出口戦略には「ウィルスとの共存」に加えて、もう二つの軸がある。「段階的」と「地域別」だ。どちらも現状認識から発したもので、その理由も適用方法も、合理的に説明された。

「段階的」の理由は、感染第二波への懸念である。ウィルスは消えずにあり、感染力も弱まっていない。そこで自由な社会活動を全体的に・同時に再開するのは、ウィルスにも、悠々と動き回れる伝播経路を与えるのと同じだ。そして今第二波が起こってしまっては、疲弊した医療体制は保たないかもしれない。

その危険を回避するため、感染拡大の可能性が高い領域・業種には6月2日以降と、第二の解除期限を設けた。それも絶対的な確約ではなく、状況によっては先延ばしされる前提だ。対象は防護の困難な環境および大人数を集める業種で、カフェ・レストラン、バー、ナイトクラブ、映画館やショッピングモールなど。同様の理由で中学校は5月18日から、高校は6月から、大学の再開は秋以降に持ち越された。

「地域別」の方は、101の県ごとに異なる感染状況を根拠とする。フランスではドイツと国境を接する東北部のアルザス地方からパリ圏にかけて感染が激化し、重症者数も他の地域と差があった。

フランス保健省は新規陽性者数・医療体制・検査体制の3点から各県を分析し、ハイリスクの県をレッドゾーン、比較的リスクの低い県はグリーンゾーンと区分して地図を作成。出口戦略を適用する際の目安にするとした。この地図は4月29日から運用を開始し、分析と色分け区分を毎日更新・発表。5月11日の解除を実行できるか否かは、その4日前、5月7日の地図の状況で決定された。

〔出所〕https://www.gouvernement.fr/info-coronavirus/carte-et-donnees
フランス政府公式、新型コロナ特設サイトの感染状況地図(5月16日閲覧)