5月14日、セーヌ川のほとりで寛ぐパリ市民たち〔PHOTO〕Gettyimages

「ウィルスとの共存」を明言…フランスが選んだ「出口戦略」の中身

コンセンサスを重視しながら、段階的に

新型コロナウィルスの感染拡大に対応するため、罰則付きの外出禁止令を設け、国全体の動きを大きく制限したフランス。「コンフィヌマン(幽閉)」と呼ばれた非日常は8週55日間に及び、5月10日に終了した。しかし翌5月11日から再始動した社会は「従来通り」には程遠く、細かなルールや制約に満ちている。「コロナウィルスと共存する」と明確に打ち出したフランスの「出口戦略」を、現地よりレポート。

静かに始まった、新しい日常

3月17日から約2ヶ月ぶりに外出禁止令が解除された、再始動の日。5月11日のフランスは、静かな1日だった。爆発的な喜びの表出もなければ、不満が暴走する騒乱もない。公園や河岸、一部の地下鉄路線など人の集った界隈もあったが、全国規模で見れば例外的なものだった。

外出する人々はマスクをし、奨励された「1mの社会的間隔」を保っている。解放感半分で戦々恐々としていた市民たちもひとまずは胸をなでおろし、通常センセーショナルな見出しを好むメディアにすら、「静かな」「穏やかな」「緩やかな」「適切に」の文字が並んだ。

パリ・セーヌ川のほとりを歩く人たち(5月14日)〔PHOTO〕Gettyimages
 

この1日は、降って湧いた僥倖ではない。フランス市民の優れた公共心によるものでもない(この点は本人たちが一番疑っている)。科学的知見に基づき練られた戦略が、粛々と準備され、遂行された結果だ。その戦略は良くも悪くも、非常にフランスらしいと筆者は感じる。

各国で状況の異なる新型コロナウィルスに対しては、ただ一つの正解はなく、それぞれの社会や制度に即した方法を取るしかない。そして「その国らしさ」が明確に濃厚に現れた一例として、フランスのそれは注目に値するものだ。

現実的で、合理的で、スピーディ。変えるとなったら思い切り良く、論理的に行動指針を積み上げ、中央集権の力で推進する。その一方で弱点はレトリックで曖昧にして、後からさりげなく修正する……平常時から見られたフランス社会の特徴が、コロナ禍対策でも、そのまま反映されているからだ。