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金正恩「急死騒動」で見えた、北朝鮮が中国に支配される近未来

外交・外事当局者はこう予測している

北朝鮮の巧みな情報操作

「今回は金正恩にすっかりやられた。いくらミサイルを発射しても、米国からはかばかしい対応が得られないので、自分の体調の件で関心を引こうとしたというのが真相だったのだろうが、元気な姿を見せる前日まで死亡しているとわれわれはみていた。脱北したのち韓国で国会議員になった池成浩も『死亡を99%確信している』と言っており、われわれもその見方を支持していた」

北朝鮮を担当するCIA関係者は、金正恩朝鮮労働党委員長の体調をめぐって情報が錯綜したことに関して、そんな内情を明かしたという。世界のインテリジェンス・コミュニティの中でその実力を誇るCIAにしては珍しいことだが、それほどまでに北朝鮮の情報操作が巧みだったわけである。

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事の発端は、4月20日、韓国のニュースサイト・デイリーNKが「金委員長が心臓の手術を受けた」と報じたことだ。翌日、米CNNも「重篤」と報じた。だが、4月23日、トランプ米大統領はCNNの報道を「誤報」と断定。菅義偉官房長官はコメントを避けた。

一方、ロイター通信は4月24日、「中国が北朝鮮に医師団を派遣した」と蒸し返した。朝日新聞も中国共産党関係者の証言を掲載する形で同様の報道を行った。一部メディアでは、「植物人間状態にある」との記事も出た。

そんななかトランプ大統領の発言が変わる。4月27日、金委員長の体調について「把握しているが話せない」とし、翌28日には「それについては言及したくない」「無事であることを願っている」などとトーンが変わったのである。前言を撤回した形であった。

この間、欧米を中心としたインテリジェンス・コミュニティでは「体調不良で何らかの治療が行われた」というのが定説になっていた。情報を共有する日本の外事関係者も、同様の見方を示した。「そもそも、金正恩は糖尿や高血圧などの持病があった」とも付言した。

その直後、「金正恩死亡」との情報が世界を駆け巡った。在沖米軍はこれを受け、警戒態勢に入った。中国軍も中朝国境に向けて移動を開始した、との情報まで流れた。