新型コロナウイルス感染拡大の中、『感染症対人類の世界史』(ポプラ新書)が緊急出版された。
そこで語られているのは、人類が感染症と戦って来た世界史。「生きる希望は歴史の中にあり」とふたりがあとがきで伝えているように、今目の前のことにどう対応したらよいのかのヒントに溢れている。

5月1日に発売された本書より抜粋掲載する最終回は、細菌やウイルスといった「感染症」を発見、撲滅に尽力した偉人たちの姿を中心に特別に編集して、一部抜粋する。現在、コロナウイルスに対しても、このような研究者たちが全力で挑んでいるのだ。

19世紀に「病気に原因がある」ことを発見

池上 ドイツのロベルト・コッホ、すごい人ですよね。彼がいなかったら、感染症というものへの理解や対策は進歩しませんでした
1876年、コッホは、炭疽菌(たんそきん)を発見し、炭疽菌が炭疽病を引き起こしていることを明らかにしました。これによって病気は細菌に感染することによって引き起こされていると証明したのです。その結果、他の多くの病気も同じように何らかの細菌によって起こっていると考えられるようになったのです。ただ、この頃はまだウイルスの存在は確認されていませんでした。 

増田 同じ時期にフランスのルイ・パスツールがいます。彼は1861年に、食べ物が腐るのは、どこかから微生物が入り込んで増えた結果だと発表しています。この考えをより確かにして、病気と細菌の関係を明らかにしたのが、コッホですよね。 

池上 コッホは、その後、結核菌コレラ菌も次々と発見していきます。そう 考えると、感染症というもの自体を見つけたとも言えるのかもしれません。それ以前は、どうして病気が起こっているか、はっきりとはわかっていなかったわけですから。 

増田 疫病や伝染病と呼んでいたものの正体をはっきりさせたということですよね。

池上 どうして病気が起こるかがはっきりしてきたからこそ、感染症への対策も進んでいきます。 

増田 パスツールは1881年、コッホが発見した炭疽菌を使って、炭疽菌の毒性を弱め、動物に注射することで病気への抵抗力をつける、予防ワクチンの開発に成功します。 

池上 こうして感染症への人類の反撃が始まったんだよね。

ドイツ・ベルリンにあるロベルト・コッホ研究所 Photo by iStock