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コロナ禍のインドネシアを脅かすもう一つの「見えない敵」

テロ組織MITの動きが活発化している

コロナ禍とラマダンに乗じて

インドネシアのシンクタンク「紛争政策分析研究所(IPAC)」がこのほどまとめた報告書「コロナウイルスと東部インドネシアのムジャヒディン(MIT)」の中で、同国のテロ組織であるMITがインドネシア政府と社会がコロナウイルス対策で混乱する今の時期を好機ととらえて、テロ活動とメンバー獲得に重点を置いて活動を活発化していると指摘している。

インドネシアの治安当局はコロナウイルス対策に加えて首都ジャカルタなど主要都市などで大規模社会制限(PSBB)の監視を通じて犯罪取り締まりと同時にテロなどの不測事態発生にも十分に警戒を強めている。

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インドネシアは4月24日から5月22日ごろまでの予定でイスラム教の重要行事である「断食月(ラマダン)」の最中でもある。例年ラマダンの期間中は一般犯罪も増加傾向になることに加え、断食終了後の5月24、25日に予定される「断食明けの大祭(レバラン)」でも犯罪とともにテロが過去には発生している。

今年はラマダンに加えてコロナ禍による「大規模な社会的制限(PSBB)」で都市部を中心に失業者や生活困窮者増加による社会不安が高まっており、こうした状況を利用したテロ活動への懸念が高まっているのだ。

ジャカルタの日本大使館も4月22日に「ラマダンにおける注意喚起」を発し、「具体的なテロ情報に接している訳ではない」としたうえでテロへの警戒や一般犯罪への注意を在留日本人に対して呼びかけている。

 

IPACの報告書は、こうした今年のラマダンの特異な状況を背景にスラウェシ島中部ポソなどを活動拠点とするMITの動きに対する警戒を呼びかけている。MITは中東のテロ組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓うインドネシアのテロ組織で、近年活動を活発化させている最も危険な組織として治安当局による摘発・壊滅作戦の主要ターゲットとなっている。