画像提供:サイバーエージェント
# 人事

サイバーエージェント「217名の新卒リモート研修」大成功の秘訣

直前の決定、人事と新卒はどう動いた?

今年4月に新社会人となった新卒社員は、新型コロナウイルス感染が拡大する中、先行きのみえない、不安な春を過ごしたことだろう。一方の企業側にとっても、4月は新卒社員を対象に研修を行うのが通例。対面での接触が制限されている中で、研修が未消化に終わった企業、実施を見送った企業も少なくないのではないだろうか。

そんな中、217名の新卒社員全員を対象に、研修の全日程を「フルリモート」に切り替え、断行した会社がある。「株式会社サイバーエージェント」だ。

フルリモートの研修方針が社内で決定されたのが、研修の前日のこと。「準備期間は実質ゼロ日」で、未完成のまま実施に踏み切ったという。

この前例のないフルリモート研修を、未完成の状態でどうやって実施したのか。そもそも、なぜやろうと判断したのか。ビジネスコースの新卒社員研修を担当した、採用戦略本部・新卒採用チームシニアマネージャーの武内美香氏に話を伺った。

取材・文/堀尾大悟

研修の前日に「フルリモート」の方針が決定

「新卒社員研修の設計は、半年前から準備を進めていました。その後、コロナの影響が出始めてからは政府の方針、会社の方針、新卒社員の研修方針をセットで考えながら、何パターンもアップデートを繰り返し、15パターンぐらい用意していました」

取材に協力いただいた武内氏

ところが、サイバーエージェントの全社方針として3月30日から「全社員の完全在宅勤務」が決定。それを受け、翌3月31日に「新卒社員研修もフルリモートで実施」の方向性が確定した。

「これまでのシミュレーションの中に『オフィスに1日も来ず、完全リモート』という選択肢はありませんでした。パソコンや保険証を渡すために数時間だけ出社してもらう予定もあったのですが、それすらリスクだね、という判断になったのは、本当に前日のことで。その意味で、準備日数は実質ゼロ日でした」

「中止」という選択肢も考えられたが、「少しでもできることを考えよう」とすぐに気持ちを切り替えたという。

「当社の新卒社員研修は、『マインドセット』をゴールに設計していています。そのゴール自体は変えずに、『どうやったらフルリモートでそのゴールを達成できるか』という『やり方』の部分をアップデートしていけばよいと考えました」

 

また、サイバーエージェントという会社のカルチャーとして、常にスピード感が求められる。“朝令暮改”のアップデートも日常的にあるので、研修担当者としての抵抗感はそこまでなかったという。

「さすがにこの規模で、かつ前日の修正というのは、私たち人事としても前例のないチャレンジでした。でも、新卒社員にとってもこれはむしろチャンスだと思ったんです。フルリモート研修という、今までやったことがないものを、彼らがいち早く経験することができる。会社にとっても彼らにとっても、後々の資産になりうると考えました」