親権・監護権争いは「連れて行ったもの勝ち」に

もっと深刻なのは、別居している親同士で親権、監護権に争いがある場合である。

我が国の家庭裁判所は、「子どもを、どちらが育てるか」について争いがある場合、「これまで誰が、主に子どもを見て来たか」「現状どちらが子どもを育てているか」「その状況が安定しているかどうか」「その状況で、子どもに著しい悪影響はないか」を見る。そして、現状に大きな問題がないのであれば、現状を維持したい、というのが裁判所の基本的な考え方である。

つまり、たとえば、父親が子どもとともに自宅を出、実家に帰った。父親は実家の協力を得て、子どもを育てており、その状態が6ヶ月続いていて、子どもも元気にしている。となると、この状態をわざわざひっくり返し、子どもを自宅、つまり母親の元に戻しましょう、という判断はなかなか出ない。

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ところが、これが連れだしてから1週間しか経っていないとか、10日しか経っていないという場合、裁判所は「子どもをもとの生活環境に戻しましょう」と判断する方向に傾く。「時間の積み重ね」が、勝敗を決する大きな要因になり得るのだ。

このように、夫婦のどちらか一方が、独断で子どもを連れて夫婦生活の本拠地を出て行き、子どもを戻す、戻さない、が強く争われている場合、「子どもの現状の安定」が大きな争点になる。子どもが一つ所で生活を続ければ続けるほど、当然生活は安定を続ける。よってこの場合、別居親は早期に司法手続きに入った方がよいのだが、コロナの影響で法律事務所も閉めているところが多かったり、また、親自身の収入が不安定になるなどして、なかなか行動に移せない。

となると、こと親権や監護権に関しては、連れて行ってしまったもの勝ち、という状況が生じかねない。