近いとより密接に、遠いとより疎遠に

外出自粛、テレワーク、他者との接触減少などの要請は、「すでに密接な関係をより密接にし、すでに疎遠になっている関係をより疎遠にする」という方向に進ませる。例えば同居している家族は、いやでも毎日同じ屋根の下で暮らし出かけられず、それ以外に会う人がいないために、よりお互いとの接触が密になる。逆に、すでに別居している家族は、外出自粛、接触減ということで、より疎遠になる、もしくは疎遠になることが正当化される。

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まず、同居中の家族・夫婦に与える影響のうち最大のものは、やはり在宅勤務など、配偶者が常に在宅することによる影響である。これまで、主に妻側は離婚を考え、別居に踏み切るときに、「旦那が仕事中に、黙って荷物をまとめ家を出る」という作戦を用いることが多々あった。旦那が帰宅してみたら、家の中はもぬけの殻、「あとは弁護士から連絡がいきます」という置手紙だけが残されている。という作戦である。

だが、夫が家にいれば、この作戦は実行不可能であり、夫に隠れて別居してしまうことはできなくなる。これは、主に妻側に、いずれ離婚するとしても「今は動けない。もう少し辛抱しよう」という判断を迫ることになる。

また、以前は家にいなかった父が家にいると、子どもが案外父親になついている、という事実に母親が気づく、というケースもある。これもまた、妻側にとっては離婚の実行を遅らせる有力な要因になる。

一方、コロナ禍が別居中の夫婦に与える影響となると、全く別である。