韓国の「フェミニズム」ムーブメントが達成してきた、これだけのこと

女性による政党も発足した
すんみ プロフィール

「n番部屋事件」ではその概要が明らかになり国民の怒りが噴出するや、当初捜査に消極的だった警察に特別捜査チームが結成された。大法院(最高裁判所に相当)はデジタル性犯罪加害者の処罰強化に向け動き出している。そして2020年4月23日には、韓国政府が量刑の引き上げや児童・青少年の保護強化などを骨子とする「デジタル性犯罪根絶対策」を発表。29日には、これらの内容を盛り込んだ通称「n番部屋防止法」が国会で成立するに至った。

韓国でフェミニズム・ムーブメントが巻き起こってから5年が経とうとしている。江南駅殺人事件以降、「被害者は自分だったかもしれない」という多くの韓国女性たちが痛いほど胸に刻んできた思いは、ムーブメントの拡大と成熟を経るなかで今や社会を動かす原動力としてより実効的に機能するようになってきている。

 

「女性議党」の発足

江南駅殺人事件以降、韓国の女性たちは、社会にはびこる女性嫌悪に怒り、街に出てきた。#MeToo運動、堕胎罪廃止デモへとつながったフェミニズムの波の中で、彼女たちは女性への差別や暴力を阻止できる法制度の整備を求めたが、関連法案の多くは国会で係留されるか、廃棄されてしまった。

女性たちはこれまでの男性中心の政治では自分たちを代弁してもらえないことに気付いた。そして政治集団を立ち上げた。誰も自分の声を代弁してくれないという切迫した思い、性差別や性暴力問題解決への念願が市井の女性たちを党の発足へと導いた。

女性たちの勇気のある行動により、「女性議党」はたったの37日で発足した。しかし「女性議党」の候補たちは、今年4月に行われた第21代国会総選挙期間中に、男性から石を投げられたり、インターネット上の書き込みによるセクハラ、誹謗中傷の被害を受けたりした。党員への殺害脅迫もあった。党員たちは女性嫌悪が蔓延した韓国社会の現実を肌で感じ、このような社会を変えていくには、女性が自ら政治に参加しなければいけないという覚悟をさらに強くした。

21回総選挙の投票の様子〔PHOTO〕Gettyimages