2018年に開催された盗撮事件への抗議デモ〔PHOTO〕Gettyimages
# フェミニズム # 韓国

韓国の女性たちが「声を上げ、生き方を変え始めた」理由

あの「江南駅殺人事件」から4年

韓国の女性が声を上げている。セクハラを告発し、女性のための政党を作り、堕胎罪に反対するデモを行う――かつては考えられなかった女性たちの行動が、いまや当たり前のものとなった。いったい韓国社会に何が起きたのか。韓国の空気をガラリと変えた「江南駅殺人事件」から4年が経った今、6人の著者が、様々な分野の「女性たちの変化」を前後編で紹介する。

※執筆者:尹怡景、すんみ、ファン・ギュンミン、宣善花、木下美絵、キム・ジュヒ。企画・翻訳協力:小山内園子。執筆者の選定は翻訳家のすんみさんの協力のもと行いました。各章の担当は記事末尾に掲載しています。

2019年3月、国際女性デーに合わせてソウルで行われたデモ〔PHOTO〕Gettyimages
 

変わりゆく女性たちの認識

運転する女性は「キム女史」、ブランド物を身につけ、スターバックスに行く女性は「味噌(テンジャン)女」、意見をはっきり言う気の強い女性は「キムチ女」。そんな呼び方がもてはやされる時代があった。明らかに女性を蔑視する表現であるにもかかわらず、当時は女性の間でもなんの問題意識もなく、一種の流行り言葉として使われていた。わずか5〜6年前の話である。

男性の目を3秒以上見つめたのち微笑みがちに視線を逸らす「3秒スキル」で男の心を捕らえ、付き合い始めたら「愛嬌」と言われるかわいい仕草をつけて「かわいこちゃん(キヨミ)ソング」を歌い、自分のかわいらしさをアピールする。徴兵に行った彼氏にはビタミン剤をハートの形の折り紙に包んで送る。

前菜からデザートまで種類豊富な手作りお弁当をつくる「n段お弁当(トシラク)」で女子力をアピールするのも欠かしてはいけない。これらはネットを中心に共有され、女性なら当たり前に知っておかなければいけない「常識」のように思われていた。

そんな空気を大きく変える事件が起きたのは、2016年5月のことだ。ソウルの繁華街で20代の女性が面識のない男性に殺害された「江南駅殺人事件」である。犯人が公衆トイレで女性が入ってくるのを待ち伏せていたことが知られ、女性を狙った無差別殺人だったことが明らかになった。多くの女性たちは、「被害者は自分だったかもしれない」という恐怖を抱いた。