「検察庁法改正」の論じ方

検察官と政治との距離はどうあるべきか
亀井 源太郎 プロフィール

法律案における条文の書きぶりにも、筆者は不満を感じている。

法律案によれば、役職定年延長が認められるのは、検事正については「当該検事の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該検事を他の職に補することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として法務大臣が定める準則……で定める事由があると認めるとき」(改正後の9条3項)、次長検事・検事長については「当該次長検事又は検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該次長検事又は検事長を検事に任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるとき」(改正後の22条5項)である。

この規定ぶりは、検事長勤務延長に際し持ち出された国家公務員法81条の3を基本的に踏襲しつつ、それに加えて、「法務大臣が定める準則で定める事由」あるいは「内閣が定める事由」の存在を求めるものである。

 

「準則/事由」の内容次第では、国家公務員法81条の3による検事長勤務延長と異なり、検察官の特性に配慮した設計がなされたと評価する余地もある。

しかし、5月13日、衆議院内閣委員会で武田良太国家公務員制度担当大臣が具体的な運用基準は現時点では存在しないと答弁したように、その内容はブラックボックスである。

技術的には、この「準則/事由」は根拠法たる検察庁法改正の後に決されるべきものではある。しかし、その内容は「準則/事由」に委ね法務大臣/内閣が決すべきことがらではなく、法律に書き込む、すなわち、国会の審議を経て決すべきことがらではなかろうか。

かつて、造船疑獄をめぐる指揮権発動は、時の内閣が倒れる原因となった。政府・与党は、検察権の行使に対する国民の視線を甘く見るべきではない。政府・与党には、誠実かつ慎重な議論を求めたい。

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