新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請が延長されました。不安やイライラが蓄積し、家族など身近な人たちについキツく接してしまうという人も多いのではないでしょうか。

この「辛抱の時」をできるだけ心おだやかに過ごすために、一緒に過ごす時間の長い家族などとは上手にコミュニケーションを取っていきたいもの。今回は、「ケンカを避けるコミュニケーション」の方法をお伝えしたいと思います。

たった一言の「ネガティブなことば」が全てを壊す

現在のように、不満と不安が渦巻いている状況下では、ネガティブなことばを発してしまいがち。ネガティブなことばのインパクトは、絶大です。

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たとえば、心理学者のソロモン・アシュ(1946年)が行った有名な実験があります。被験者たちに、とある人物を評価するために以下のようなことばをリストとして見せました。

リストA:知的な 器用な 勤勉な 温かい 決断力がある 実践的な 注意深い
リストB:知的な 器用な 勤勉な 冷たい 決断力がある 実践的な 注意深い

このリストの違いは「温かい」と「冷たい」という部分だけですが、Aのリストを見せられた90人は、その人物を「優しい」「社交的」「面白い」のように全体的に高く評価したのに対し、Bのリストを見せられた76人は、評価が低かったのです。たったひと言のネガティブな評価のことばが印象を大きく変えてしまうのです。

そもそも、人には「ネガティビティ・バイアス」というものがあり、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けてしまいがちで、ネガティブな情報ほど記憶に残りやすい傾向があります。たとえば、口コミでネガティブなものとポジティブなものを同等の量にして被験者に見せても、全体としてネガティブな評価に偏るという実験(Purnawirawan et al, 2015)があります。