さらば「キャス9」 日本独自のゲノム編集技術「キャス3」とは何か

東大教授にしてベンチャーを起業!
リケラボ プロフィール

最近話題になっているガンの新たな治療法CAR-Tでも、CAR-Tにゲノム編集を加えることでより活性化し、効率的な治療を行える可能性があります。

また、今のところCAR-Tの対象となるのは血液のガンですが、これをゲノム編集により他のガンに対しても効かせる可能性も出てきます。さらにはiPS細胞にゲノム編集を加えた治療なども考えられます。

実際にCRISPR-Cas3を使ってデュシャンヌ型筋ジストロフィー遺伝子に変異を持つ、ヒトiPS細胞の遺伝子修復にも成功しました。この研究成果は、英国科学誌『Nature Communications(オンライン)』で2019年12月6日に公開されています。

バイオサイエンスに引き寄せられた人生

──大学入学時は農学部だったそうですね。

ちょうど大学受験の頃にバイオサイエンス、分子生物学などが注目されはじめました。こうした学問を求めて農学部に入りましたが、残念ながら少しあてが外れました。

そこで学部4回生のときから医学部の動物実験施設にかかわるようになったのです。ただし、当時は医学研究科に入るためには修士を取らなければなりません。そこで、できたばかりの人間環境学研究科で医学部の先生から学びました。

──医学にも関心を持っていたのですか。

 

学部4回生で医学部にかかわったときから、ヒトの病気と治し方に興味を持つようになりました。そして人間・環境学で学位を取り、フランスのパスツール研究所に留学します。

パスツールでは主にマウスの遺伝学に取り組み、日本で京都大学に戻って今度はラットの遺伝子研究、組換え研究をやるようになったのです。これが結局、今のゲノム編集につながっています。

その後、大阪大学に呼んでもらい、今度は東京大学に呼ばれました。

──ベンチャー起業もしています。

C4U、つまりCRISPR for Youを意味する社名のバイオベンチャーです。我々が開発したCRISPR技術は、みんなのためのものです。特にC4Uでは医療用途としてのCas3技術の普及に努めます。