「給付金10万円をギャンブルで使われる!」依存症者の妻たちの悲鳴

さらに借金を作る可能性もある…
田中 紀子 プロフィール

「ギャン妻」たちの悲鳴

この特別定額給付金の支給について、ギャンブル依存症者が世帯主となっている家族の側にも質問してみると(有効回答者数162人)、「ギャンブラーと話し合いができているので、受け取りや使い道に不安はない」と答えた人がおよそ半数の51.85%、「ギャンブラーが受け取ることに不安を感じているが対策や話し合いができていない」が17.90%、「ギャンブラーに家族分が渡らないよう、もしくは使われぬよう対策を講じている」が15.43%、「全部使われてしまうとあきらめている 」も2.47%に及んだ。

再び断っておくがこのアンケート調査は、家族会等なんらかの支援に繋がっているギャンブル依存症者の家族に行ったものであり、ギャンブル依存症問題だと気づけていない、もしくは気づいていてもどうしてよいかわからないといった状況の人々ではない。ギャンブル依存症や当事者への対応の下を学んできた人たちである。それでも話し合いができている人は半数に留まり、残りの人々は今回の世帯主一括請求に不安を抱えているのである。

ギャンブル依存症者の妻を、私たちは略称として「ギャン妻」と呼んでいるが、世帯主がギャンブラーとなっている家族は、ほとんどの場合このギャン妻である。ではギャン妻たちはどのような対策を行っているのだろうか。

その内訳を見てみると、ギャンブラーの通帳とカードを預かっているが最も多く60.27%。これは前述の質問でギャンブラーと話し合いをした結果、通帳とカードを預かることになった人が含まれている。

 

しかし、考えていただければお分かりの通り、これは盤石の対策ではない。ギャンブラーが申請を出す際に、横でつきっきりでそれを眺め、ポストに入れるまでを見届けられれば安心だが、申請をする際に、ギャン妻が通帳とカードを預かっている口座を記載せず、ギャンブラーが別の口座を書いてしまえばそれっきりで、ギャン妻はいつまでたっても振り込まれない通帳とにらめっこすることになる。

そして得てしてギャンブル依存症の夫はこういうことをする。ギャンブル依存症者にとって臨時収入はギャンブルの種銭である。ギャンブル依存症者は年がら年中金に困っており、依存症によって機能不全となった脳は「金がないから、ギャンブルで稼ぐしかない」と考えるようになる。特別定額給付金が支給されるとなれば、「とりあえずこのお金を借りて、ギャンブルで増やして返そう」と魔が差しても不思議はない。