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# 教育 # 新型コロナウイルス

オンライン授業の経験で「コロナ後」の学校の形が変わる

熊本市・遠藤洋路教育長に聞く

新型コロナウイルス対策として2月末に小中学校への休校要請が出されて以降、子どもたちへの教育をどうするかが大きな社会問題になっている。

海外ではインターネットを通じたオンライン授業が行われているが、日本の公立の小中学校は対応が遅れている。そんな中で熊本市は、市内の全小中学校でのオンライン授業を4月中旬から始めて注目を浴びている。

熊本市の取り組みについて遠藤洋路・熊本市教育長にオンラインでインタビューした。(聞き手はジャーナリスト 磯山友幸)

学校差、家庭差は何で生じるか

 熊本市では市立の小中学校全校でオンライン授業を実施しているそうですね。

遠藤 2月末に政府の休校要請があった後、3月の休校時には4校をモデル校にしてオンライン授業の実験をしました。その後、4月3日に新年度の当面の休校を決めた際に、全校でオンライン授業を行うこととし、4月15日ごろから始めました。一応、全校で始まりましたが、学校によってレベルはまちまちです。

遠藤洋路氏

 学校による差は何によって生じているのですか。

遠藤 圧倒的に機材の問題です。実は2年前から授業に使えるようタブレットの配布を始めていました。もちろん、在宅でのオンライン授業を想定していたわけではありません。授業の中で使ったり、宿題をやるための機材として学校に配布し始めていました。

それでも、現状では3人に1台分しか行き渡っておらず、圧倒的に足りません。自宅では保護者のタブレットなどを使うようお願いし、持っていない家庭に貸し出しています。中学校では何とか全員がタブレットを持ち、全学年でオンライン授業ができるようになりましたが、小学校では3年生以上で、しかも学年によって交互に使うなど工夫している学校もあります。

 家の通信環境によってもだいぶ違うのでしょうね。

遠藤 ええ。台数も足りませんし、自宅のパソコンにカメラが付いていなかったり、通信回線が細かったり、環境は同一ではありません。オンライン授業も先生と生徒が双方向でやり取りできている学年もあれば、写真などを見せて一方向の授業を行っているところもあります。学校によっては子供同士が相談して、発表を行うなど、通常以上に活発な授業になっているところもあります。

 家庭によって環境に差がある中で、オンライン事業を始めるに当たって、反対や懸念の声はなかったのでしょうか。

遠藤 もちろん心配する声はありました。しかし、休校という異常事態に直面しているわけで、「何もやらない」か「オンライン授業をやる」かの選択肢しかないわけです。何もやらないよりは、不安はあってもやる方が良いという点について異論はありません。

 

今回は、環境など「高い方」に合わせることにしました。タブレットが家庭にないなど「低い方」に合わせていたら何もできません。高い方を見てオンライン授業を行う一方で、設備がない家庭など低い方をどうやって底上げし、問題解決するかを考えることにしました。