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実は、猪木の名セリフには勝手に「使ってはいけない」フレーズがあった

知っていましたか?

いくぞぉー!…

今から30年前、'90年2月の新日本プロレス東京ドーム大会。前年に参議院議員となったアントニオ猪木は坂口征二と往年の「黄金コンビ」を組み、新世代の橋本真也&蝶野正洋の挑戦を受ける久しぶりのビッグマッチを迎えていた。

ファンも大きな期待を寄せていたが、蓋を開けて見ると、猪木の体調不良もあって、試合の盛り上がりはイマイチ。

このとき、白け気味の6万の大観衆をなんとか盛り上げようと、猪木が叫んだのが1・2・3・ダァーッのかけ声だ。

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以来、プロレスや格闘技のイベントの「締め」として、猪木の「いくぞぉー!」のかけ声に応じ、会場一体で叫ぶのが定番となった。

プロレスファンにはお馴染みの「1・2・3・ダァーッ」だが、実はこのフレーズは商標登録されている。商標とは「自社の商品・サービスを区別するための目印」だ。

国に登録してお墨付きをもらった商標は「登録商標」としてその権利が保護され、商標登録後に、同じ名前の商品・サービスが他者によって展開された場合、その行為の停止を請求できるのだ。

 

「商標」には、一般的な商品名などに関わる「文字商標」や企業ロゴなどで申請される「図形商標」のほか、ケンタッキーフライドチキン(KFC)のカーネル・サンダースや不二家のペコちゃんといった立体的な形状からなる「立体商標」などがある。

バリエーションが豊富なのはやはり、文字商標で、商品名のほか、標語やキャッチフレーズ、芸能人の芸名も商標登録されることがある。

アントニオ猪木の権利会社「コーラルゼット株式会社」は「1・2・3・ダァーッ」からなる文字を商標登録している。

そのため、無断でこのフレーズを使用し、商品やサービスを展開することはできない、というわけだ。

ちなみにこのほか、「燃える闘魂」「元気ですか」「アントン」「イノキイズム」「ボンバイエ」「猪木祭り」なども同社により、商標登録されている。猪木の名フレーズを簡単に使うことは許されないのだ。(井)

『週刊現代』2020年5月16日号