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問題は私たちの頭の中にある

『問題発見力を鍛える』vol.13
「問題解決」よりも「問題発見」が重要になっていく時代に必要なことは何かを考えるコンサルタント・細谷功氏の連載『問題発見力を鍛える』。第13回の今回は、問題はどのような時に生まれるのかという問いから、ビジネスへの応用に展開します!
 

問題は事実そのものではない

問題とは「ギャップ」のことであるというのが前回のお話でした。ギャップには大きく2通りあり、ネガティブ側のもの、つまり通常状態にもどすべき負の状態のものとポジティブ側のもの、つまりあるべき望ましい姿と現状とのギャップのことです。

ここで注目すべきは、「ギャップ」としての問題には必ず2つの状態が関わっていることです。考えやすいのはネガティブ側の方なので、そちらを例にとります。例えば誰かがお皿を床に落として大破させてしまったという状況を想定して下さい。これは一体どの程度大きな「問題」でしょうか?

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皿が大破したという事実は一つですが、これがどの程度の問題かというのは人によって違うでしょう。そのお皿が誰かとの思い出の品という「世界で一つの価値をもつもの」であれば、これは下手をすれば何年も尾を引くような大問題になるでしょう。でもこれが「もともとその皿は捨てようと思っていた人」から見れば、「ちょっと気をつけて掃除しよう」という程度の軽微なものである可能性もあります。

なぜそれらが人によって違う問題なるかと言えば、事実が一つなのに、それに対する「もどすべき状態」あるいは「あるべき姿」が人によって異なるからです。当たり前のように思えるかと思いますが、問題をこのようにとらえることで、実は問題というのは、私たちが事象をどのように解釈するかによって変わってくるということになります。

問題発見が私たちの思考力とどのように関わっているのかがここにあります。要は問題というのは事実そのものではなくそれを認識する私たちの頭の中にあるのです。したがって身の回りのものを見て様々な問題が見つかる人とそうではない人が出てきます。

例えば完璧主義者の人というのは、あるべき姿のレベルが高いので、他人と同じ事象を見てもそのギャップが大きく感じられるので人一倍様々な問題が見つかることになります。逆に言えば、完璧主義者の人には悩みも大きくなることになり、必ずしも良いことではないというのもわかります。前回「不満や文句が多い人は問題を見つけるのが得意である」と言いましたが、完璧主義者にこういう人が多いこともうなづけます。