レンタル旅館にVR!新型コロナに負けない「温泉体験ビジネス」とは?

座椅子、座布団、固形燃料も貸します
山崎 まゆみ プロフィール
 

福井県あわら温泉グランディア芳泉の「ご自宅は温泉旅館」プランも面白い。

会席夕食4人分、日本酒1本(4合)、源泉10ℓ、浴衣と帯セット4人分(浴衣帯はレンタル)がセット一式。さらに若女将と料理長、スタッフが、チェックイン・チェックアウト・夕食の説明をし、酒や温泉入浴の解説をしてくれる動画が付いて29000円(4人分)。これらを旅館に取りに行く。

「4月18日から毎週土日に販売しております。利用される方は入学祝い、誕生日、古希の祝いとお祝い事に使ってくださっています。大変好評ですので、これからも継続してまいります」

と、グランディア芳泉・山口高澄氏は手応えを感じている。

福井県あわら温泉グランディア芳泉の「ご自宅は温泉旅館」のセット一式。至れり尽くせりの豪華さ拡大画像表示
 

ダイレクトな「絆」が生まれる

GWはSNS上で多種多様なバトンリレーが盛り上がったが、一足早く、4月13日から「#宿つなぎ」リレーを始めた旅館がある。

「#宿つなぎ」と「#収束後の楽しみに」とタグが付いて、旅心をくすぐり、ほっと和める90秒の動画がアップされている。巣ごもりの身としては素直に嬉しい、旅先からの便りだ。

「コロナの収束が見えず、旅館を宣伝することも控えなければならない状況にあります。そのため宣伝とは違う形で旅館を露出させられないかと考えました。このリレーは奈良から始まりましたが、まずは近畿へ、はては全国につないでいきたいです。宿泊施設同士の結束も強まります」

と、奈良県吉野山温泉湯元宝の家の森下圭太郎氏は意気込みを語る。

前出の全旅連青年部長の鈴木氏は、「お客様が戻ってきてくださった時に、安心してお寛ぎ頂けます様に、いま組合で自主的に安心安全のガイドラインを作っています」と、withコロナの対策を考えていた。

同時に、「これは宿の主としての考えですが、今後は免疫力アップ温泉とか、宴会温泉とか、一般の方が目的別に選びやすいように、宿のカテゴライズを打ち出したほうがいいかもしれません」とも提案する。

いま、お客さんと何らかの接点を持つことは旅館にとって有益だ。なぜなら、この非常事態の自粛期間中に接した温泉や旅館は、その人にとっては特別な場所となるからだ。かくいう私も、家で松之山温泉に入った経験は忘れえぬ時間となっている。

この辛い時期に癒しを与えてくれた温泉や旅館を、コロナ収束後に訪ねたいと思うのはごく自然のことだろう。思い出深い温泉地、宿としてファンやリピーターになってくれるかもしれない。

お客さんと温泉地や旅館との間に、このようにダイレクトな「絆」が生まれることが観光業再建の足がかりとなることを私は信じている。