レンタル旅館にVR!新型コロナに負けない「温泉体験ビジネス」とは?

座椅子、座布団、固形燃料も貸します
山崎 まゆみ プロフィール
 

岡山県奥津温泉足元湧出の「鍵湯」を有する奥津荘のアルカリ性単純温泉は、江戸時代に藩主が独り占めするために源泉に鍵をかけたほどの名湯。温泉好きならば、その名を聞けばうっとりとする憧れのお湯である。

「保健所の許可を取るのに時間がかかりましたが、いよいよ5月末くらいからうちのお湯を皆さまにお届けできます」(全旅連青年部長・奥津荘社長の鈴木治彦氏)

湯船の底からこんこんと温泉が湧き出る「鍵湯」が人気の岡山県奥津温泉奥津荘は、棟方志功ゆかりの宿でもある拡大画像表示

斬新な温泉プロモーションも始まった。西の横綱と名高い兵庫県有馬温泉は、若手有志が有馬温泉の入浴VR動画を4月17日に公開した。その名も「湯めぐりVR」

4K対応のVRゴーグルを装着し、自宅のお風呂に浸かりながら動画を観ると、入浴映像のみならず、入浴中の水音や桜舞う風の音も体験できるというもの。

「大変好評を頂いておりまして、再生回数が1万回を越えそうです。日本向けに開始したのですが、現在は海外、特にロシアとアメリカでよく見られているようです。日本の温泉の力で、コロナに疲れた世界中の人を癒したいです。いまは2本目のVR動画が公開目前です」(有馬温泉・金井一篤氏)

旅館の道具一式を貸し出す

VRとは一味違うリアルな「疑似温泉」を提供するビジネスも動き出している。

その一例が山形県小野川温泉や福島県飯坂温泉、土湯温泉の若旦那が考案した「おうちで温泉旅館ごっこ」だ。

発起人の一人である山形県小野川温泉登府屋旅館の遠藤直人氏は、「外出自粛と一斉休校で退屈している親子に、旅館気分で食事をしてもらおうと思いまして。また大ダメージを受けている旅館業界に、明るい話題を提供したいので」と話す。

温泉旅館を訪れた際に着用する浴衣、丹前、御膳、座椅子、座布団、ごとく(固形燃料)、ごとく用の鍋(陶板)、おしぼり。これら旅館の道具を一式貸し出す。旅館によっては料理やお酒、デザートに食器もセットに含む。

「すでに3組の家族に体験をしてもらいましたが、固形燃料に火をつけるなんて、普段、家ではしないですから、楽しんで頂いているようです」(前出・遠藤氏)

料金は浴衣とお膳などの基本セットの貸し出しは500円。旅館によっては旅館利用の前売り券やクーポンなどを組み合わせて販売できるように調整中だ。宅配ではなく、温泉旅館に取りに行くという方法で、サービスは5月半ばから本格的にスタートする。