レンタル旅館にVR!新型コロナに負けない「温泉体験ビジネス」とは?

座椅子、座布団、固形燃料も貸します
山崎 まゆみ プロフィール
 

オンラインビジネスを強化

新型コロナウイルスの出現により、世界が一変した。特に観光業は壊滅的な状況だ。

事態を打開しようと率先して動いたのは、神奈川県箱根に8軒の旅館を有する一の湯グループ。創業390年祭りシリーズの一環として、3月中旬に展開した「まじでコロナウイルス勘弁してくださいプラン平日3900円プラン」はネーミングのユニークさもあり、多くのメディアで取り上げられ、話題になった。

雲行きが変わったのは、4月7日の緊急事態宣言(7都府県)の発令。徐々に、箱根の各旅館は5月6日までの休館を決めた。一の湯にいたっては緊急事態宣言発令の翌日に、休館を発表。相談役・小川晴也氏は、「うちは商売よりも、人命を第一に考えます。緊急事態宣言が出る数日前から全店舗休館の準備を始めていました」と話す。

さらに、緊急事態宣言が全国に拡大した4月16日、今度は全国の旅館ホテルが5月6日まで休館を発表する。宿泊業で最も大きな団体である全国旅館ホテル生活衛生業同業組合連合会の青年部長・鈴木治彦氏は、「9割の旅館ホテルが、なんらかの休館を余儀なくされました」と、その打撃を訴える

山形県の銀山温泉も一斉休業した(photo by iStock)

けれど黙って休館し、手をこまねいていたわけではない。スタンダードな対策としてオンラインビジネスを強化した。

例えば、「買って応援!がんばっぺ! 岳温泉商店街」と銘打ち、福島県岳温泉はオンラインショップを5月1日にオープンし、温泉まんじゅうや温泉たまご、温泉化粧水品等、お土産物の販売を始めた。

同日に、熊本県黒川温泉組合もオンラインストアを開設。黒川温泉入浴剤や黒川温泉の文字が入った桶、浴衣姿で持ち歩きたい野草をモチーフとした和風柄の洒落た風呂敷が並ぶ。

ここからは、より挑戦的でユニークな試みをご紹介しよう

有馬温泉は湯めぐりVR

冒頭で紹介した松之山温泉のように、お湯自慢の宿はこぞって源泉の宅配を始めた

栃木県塩原温泉湯守田中屋は、連休前に「源泉デリバリー」と称し、自家源泉・ナトリウム・カルシウム硫酸塩泉の源泉100ℓ(20ℓタンク5個)をプロの自転車チーム「那須ブラーゼン」の選手が運ぶシステムを作った。料金はなんと無料。1日先着4名。これが大好評で、今度は5月21~31日の期間中に、栃木県内にある7つのプロスポーツチームの選手が塩原温泉、那須温泉、板室温泉、鬼怒川温泉の源泉を無料で届けることになった。

静岡県西伊豆の桜田温泉山芳園は、地中から湧きだした新鮮な温泉を空気に触れさせずに湯船に注ぐという独自のシステムを開発したほど、源泉にこだわる宿。5月1日にリニューアルオープンした桜田温泉オンラインショップでは、源泉10ℓボックス3300円、20ℓボックス4400円で注文できる。

「自粛生活にかかわらず、これからも様々な理由で温泉地に出かけられないこともあると思いますので、宿は非日常のお手伝い、オンラインショップは日常のお手伝いをさせて頂きます」(山芳園・吉田広美氏)