# 先物

これは「逆」スタグフレーションか…!原油先物マイナスの謎を読む

コロナ危機に隠れた投機と産油国の思惑

なぜ起きた逆オーバーシュート

何回か「スタグフレーション」(不況下での物価上昇)について、解説した。しかし分野によっては、原油先物のように「『逆』スタグフレーション」が発生することもある。

スタグフレーションについては、不況で需要が低下し、それ以上に、物の供給が急激に「減少」し、そして心理的な「パニック」が加わった場合に発生する。

ところが現在、コロナ・ショックの不況下で、4月20日、原油先物価格がマイナスになるという現象が起きた。需要の低下、供給の急激な増加、そして同じくパニックによって、オーバーシュートした。

しかも、現物市場にはない、先物市場特有の「仕方ない仕組み」によって「マイナス」まで価格が下落した。

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しかし、現在の経済では「マイナス」には慣れている。寄稿(2019年9月17日付)などで解説したが、銀行間金利の世界では(複雑な仕組みを前提としているものの)マイナスになっている。また、対顧客(リテール向け)向け貸出金利では、一般的にマイナスにならないように、石油関連商品の対顧客価格もマイナスにはならない。

まず、原油の供給(生産)状況を見てみよう。世界経済は、新型コロナ禍により、リーマンショック(金融危機)以上の経済危機になり、世界的に需要が激減した。

それに対して、産油国であるOPECとロシアのいわゆる「OPECプラス」の減産交渉は3月に決裂した。逆に、OPECの盟主たるサウジアラビアは25%の増産をした。

ここで、実際の需要と供給のバランスが大きく崩れた。そもそも、この減産交渉に原油生産量1位の米国は参加していないという問題もあった。

そのような需要と供給の関係があり、それに加え、これから説明するがWTI、いわゆる原油先物特有の「仕方のない仕組み」によって、価格がマイナスになったのである。