アベノマスクの圧倒的な「ヤバさ」、やっぱり笑い事では済まない

大変な「掟破り」をしている可能性
加谷 珪一 プロフィール

透明性の確保は必須要件

もうひとつ、会計法で随意契約が認められている理由は緊急性であり、今回は緊急性を考慮した可能性もある。だが、本当に随意契約でなければ時間がかかったのかについては疑問が残る。政令では10日間以上、入札の情報を公告することが義務付けられているが、緊急性を要する場合には短縮できるという定めもある。

また、随意契約だからといって、調達の手続きが一気に簡素化されるわけではない。あらかじめ仕様書を作成し、複数事業者から見積もりを提出させた上で、予定価格を事前に算出するなど、入札に準じた作業が必要であり、よほどのことが無い限り、緊急性だけを理由に随意契約にするのは難しいだろう(しかも現実には東京都以外の自治体ではGWが明けてもまだマスクがほとんど配布されておらず、緊急配布とはほど遠い状況となっている)。

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入札の場合、誰が落札するのか分からないため、納入する能力がない事業者が落札してしまったり、あるいは誰も入札しないというケースも考えられる。入札者がいない場合には、結局、随意契約になるので(不落随契)、最初から確実な随意契約にした方がよいとの判断もあり得るだろう。

だが、こうした事情で随意契約にする場合には、会計法の原理原則上、より厳格な透明性と説明責任が求められる。通常のルールの範囲内でも社名や金額の公表が義務付けられているという現状を考えると、社名の公表を渋ったこと自体が大問題であると言わざるを得ない。

また、事業者の選定理由についても、誰もが納得する理由でなければ、法律の趣旨に沿った調達とはいえないだろう。

政府がなかなか社名を公表しなかった1社については、これまでマスクを大量に納品した実績がなく、なぜこの事業者が選定されたのかはっきりとした理由が分からない。しかも一部では経営実態が不明であるとの報道もある。