睡眠時間激減…在宅勤務で「子どものいる女性の負担増」という現実

在宅勤務緊急調査報告(1)
落合 恵美子, 鈴木 七海 プロフィール

在宅勤務になって困ったこと

では結果の報告に移ろう。

まず在宅勤務の生活で困ることは何だろうか。この調査では、大事な質問は自由回答で答えてもらい、事後的に内容別のコードをつけて集計するアフターコードという方式をとった。

「あなたまたはご家族が在宅勤務になって、困ったことを教えてください」という質問への答えをアフターコードすると、「家族関係」「家事育児」「生活習慣」「精神状態」「住宅環境」「仕事関係」という6つの項目に回答は集中した。

それぞれの項目に言及した人数を、性別、子どもの有無、休校・休園中の子どもの有無によってグループ分けして示した。同じグループの人々(たとえば「休校・休園中の子どもがいる女性」)の中で、その項目をあげた人たちの割合を示したものだ。ひとりの回答に2つ以上の項目が含まれているときはそれらすべてにカウントした。

「困ったこと」として圧倒的に多くの人があげたのは「仕事関係」だった。性別、子どもの有無にかかわらず、4割程度の人たちが仕事について困っている。どう困っているのかは、2回目のレポートで分析しよう。

次に多かったのは「生活習慣」で4人に1人があげている。「生活リズムが崩れる」「オンオフの切替がむずかしい」などと並んで、ずばり「運動不足」と書いている人も目立つ。

公園や遊歩道でジョギングやウォーキングをしている人たちに意地悪なカメラを向ける報道もあるが、これだけの人たちが危機感をもって健康維持に取り組んでいるのだ。「ステイホーム」の課題解決のための努力として、前向きにとらえたらどうだろう。

「住宅環境」と「家族関係」と「精神状態」の困難は、互いに関係しあい、「ステイホーム」一辺倒で進める危うさに警鐘を鳴らしている。「24時間同じ屋根の下に2人でいるため、ストレスが溜まりやすくなった」「自宅に2人在宅勤務、一人自宅待機の高校生がいるとお互いストレスがたまる」「リビングが仕事スペースになると他の人が寛げない」というように。家族や子どもとの「喧嘩がふえた」ケースもあり、DVに至る道筋が見えるようだ。

感染防止のために科学的に必要なのは「ソーシャルディスタンシング=人と人が物理的距離を置くこと」なのだから、家を出るな、ということではなかったはずだ。

しかし次第にわかりやすい「ステイホーム=お家にいましょう」を強調するようになり、「外出自粛」も言われるようになった。人々を無駄に追い込んでいるのではなかろうか。

日本の都会の家は家族全員がずっと一緒にいるには狭すぎる。これだけ多くの人たちが、家にこもること、外に出られないことによる心身の、そして家族の危機を訴えている。

むしろ屋外で運動したり発散したりする機会を保障することが、健全な「ステイホーム」継続のための必須条件であると、発想を転換すべきではないだろうか。

 

今は閉園している公園もあるが、そうすると行き場のない人々が遊歩道などに仕方なく集まってしまう。むしろ使命感をもって公園を開園し、広い公共空間を人々に提供するという方針もあり得るだろう。もちろん人と人の距離をとるよう目を配りながら。

緊急事態宣言の延長を契機に、公園の開放など、合理的で持続可能な方法への転換を実現してほしいものだ。