加速する安倍政権の終焉…次の首相に手を挙げる「イマイチな顔ぶれ」

安倍に直訴した3人の議員たち【後編】
戸坂 弘毅

「おしゃべり大臣」

こうした稲田や下村の動きに刺激されたのか、さらに2人の清和研の所属議員が、相次いで安倍に総裁選立候補の意欲を伝えた。 

ひとりは、昨秋の内閣改造で経済再生相として初入閣し、今は新型コロナ担当相も兼ねて連日テレビに顔を出す西村康稔。そしてもうひとりは、元経産相で参院自民党幹事長を務める世耕弘成だ。

2人は、いずれも安倍のもとを別々に訪れて、次の総裁選に清和研の代表として立候補したいとの意向を伝え、お墨付きを得ようとした。だが安倍は2人に対しても、稲田同様に「次は宏池会や志公会(麻生派)と一緒に岸田さんを支援したい」との意向を伝えて自重を促した。両者が食い下がったため、やはり「まずは自力で20人の推薦人を集めてみたら」と言って追い返したという。

西村は灘校―東大―通産省と歩み、大学時代はボクシング部で活躍したスポーツマンでもある、絵にかいたようなエリートだ。

役人時代に石川県庁の勤務経験があり、地元の元首相・森喜朗の知遇を得て可愛がられている。そのため自民党が野党に転落した09年、麻生太郎の後継を選ぶ総裁選では、森のお膳立てで当選3回ながら立候補した経験もあり、早くから将来を嘱望されてきた。

西村康稔(Photo by gettyimages)
 

だが下村同様、自分勝手な行動が多く、頭の良さを鼻にかけて他人を見下すような言動も目立つことから人望に欠ける。官房副長官を務めていた一昨年には、西日本豪雨災害が差し迫っていた晩に、安倍や岸田らと宴会で同席した集合写真をわざわざツイッターに投稿、国民の強い批判を招いた。

本人は「私も(総裁選立候補の)有資格者だ」と強気だ。安倍も西村には期待するところがあり、新型コロナ担当相に起用したのだが、自らの活躍をアピールしたいとの気持ちが先走り、「おしゃべり大臣」とも揶揄される。緊急事態宣言の解除基準を巡って政府に苦言を呈した大阪府知事の吉村洋文を批判して逆にネット上で集中砲火を浴びるなど、言動の軽さが相変わらず目立つ。