安倍首相「人生の出口戦略」はコロナですべて吹き飛んだ

安倍に直訴した3人の議員たち【前編】
戸坂 弘毅

浮上する「続投論」

コロナ対策給付金をめぐり、安倍は「困窮世帯限定の30万円給付」との決定を、官邸での岸田との会談後、岸田自身に公表させて花を持たせる形で一度は決着させた。ところがその後、幹事長の二階と連携した公明党の強硬な巻き返しに安倍が抗しきれず、「一律10万円」に方針は覆り、岸田もこれを受け入れざるを得なくなった。

実は、岸田も当初は「全国民一律現金給付」を唱えていたのに、麻生らの強硬な反対に押され、困窮世帯限定給付の方針に転換した経緯があった。それなのに今度は、二階や公明党に押されて右往左往したことで、岸田の政治的力量に改めて強い疑問符が付く結果になった。4月に行われた産経新聞とFNNの合同世論調査では、岸田を次期首相に挙げた人はわずか2.7%だった。

 

こうした事態を受け、安倍周辺では再び安倍の続投論が浮上している。「このままでは来年9月の総裁選で石破総裁が誕生しかねない。阻止するためには安倍続投しかない」というわけだ。

安倍自身が続ける以外に「石破総裁」を阻止できないとなれば、考えを改める可能性は出てくるのではないか――周辺はその可能性に縋る。だが、こうした中さらに「想定外の動き」が安倍の足元である細田派で相次ぎ、安倍は頭を抱えている。

(ジャーナリスト、文中敬称略。後編につづく)