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朝鮮労働党幹部が明かした「金正恩異変説」の真相

彼はどこで、何をしていたのか

「影武者」ではない

5月2日、朝鮮中央テレビが、14分10秒にわたって「特別ニュース」を放映した。前日のメーデーの5月1日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、平安南道(ピョンアンナムド)順川(スンチョン)リン肥料工場の竣工式に出席し、テープカットを行ったというものだ。

金正恩委員長は、4月11日に朝鮮労働党中央政治局会議を招集したと伝えられた後、12日の最高人民会議、15日の「太陽節」(金日成主席の誕生日)の「錦繡山(クムスサン)太陽宮殿」(金日成主席と金正日総書記の墓所)の参拝など、重要行事を次々と欠席。20日間にわたって動静が伝えられなかったため、身体的な「異変」が指摘されていた。

2日の「特別ニュース」は、こうした「異変説」を世界に向けて払拭する狙いがあったことは確実だ。映像を見て目についたのは、例えば、式典の壇上に掲げられた背景の大型看板に、「2020年5月2日」と記されていた。本来なら、「主体109年5月2日」もしくは「主体109(2020)年5月2日」と、「主体暦」(1912年に金日成主席が生誕した年を元年とする暦)を使用するのが通常だからだ。

朝鮮中央通信

私はこの14分あまりの映像を、繰り返し見て確認したが、そこに写っている超肥満体の「主役」は、金正恩委員長本人に間違いないと思う。「ダミー説」(影武者説)も内外で飛び交っているが、そうではなくて本人であろう。

そもそも、金委員長のダミーというものが存在しているのかどうかさえ疑問だ。いまから6年前の2014年3月、香港鳳凰テレビが「中国国内に金正恩発見!」という「スクープ映像」を流したことがあった。遼寧省の省都・瀋陽の露店でシシカバブ(羊肉の串焼き)を焼いているお兄さんが、金正恩ソックリだというのだ。

彼は図に乗って、北朝鮮式の人民服を誂えて、ヘアスタイルも「覇気カット」(金委員長のヘアスタイル)に変えた。本当にソックリで、彼は「地元の名士」となり、ついに中国国営新華社通信までが取材に来た。

ところが、これに猛抗議したのが、北朝鮮大使館だった。「この串焼き屋をまつり上げて、クーデターが起こったらどうするのか」と、本気で懸念したのだ。つまり本物と入れ替わってしまうことを恐れたわけだ。結局、彼はソックリさんを止めるか、串焼き屋を止めるかという選択を迫られ、泣く泣く人民服を脱いだのだった。

さて、私は4月24日にこのコラムで、中国の医療関係者の証言として、「植物人間説」を紹介した。それは、今年に入って新型コロナウイルスの問題でいろんな話を提供してくれた中国の医療関係者からもたらされたものだった。私は「にわかには信じがたい話」という自分のコメントも記事に添えた上で掲載したのだが、各方面から叩かれた。

 

もとより、結果的に金正恩委員長が姿を見せたのだから、コラムの読者諸氏に誤解を与えた点があったとすれば、そこのところはお詫び申し上げたい。その後、その医療関係者に追加で話も聞いてきたが、「中国が医師団を北朝鮮に急遽、派遣したこと」及び「金正恩委員長が北朝鮮医師の手によって、心臓疾患の手術を受けたこと」は間違いないと、いまでも主張している。いずれにしても今後、さらに情報を精査し、記事を提供していく所存である。

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