新型コロナ、安倍政権と専門家会議の「いびつな関係」

独立性・公開性が保たれていない…
春日 匠 プロフィール

もちろん、これは基本的には行政側の問題である。

たしかに、専門家会議に集まった専門家の側も、行政の事情に配慮して発表の内容を変えていたとすれば、科学者倫理に抵触する面があったのではないか、という疑いは免れ得ないだろう。

しかし全体としてみれば、独立性や公開性を担保するのは行政側の仕事だ。

専門家会議の独立性などが損なわれれば、結果として、科学的なアドバイスを委任された専門家がどんなに誠実に業務を遂行しても、(これから説明するように)多様な見解を吟味することと、何らかの結論を出すことという矛盾した役割の中で行き詰まることになる。

民主国家にあっては後者の「結論を出す」役割は本来、政治が負うべきだが、その役割まであたかも科学者が持っているかのように演出されている。これは科学と公衆、政治の関係という観点において危機的な問題であるが、むしろ安倍政権は、自分たちの責任が曖昧になることを意図しているのではないかと勘繰りたくもなる。

原子力発電所の再稼働でも、政府はしばしば「原子力規制委員会の判断を尊重して」と述べてきた。しかし、規制委員会の仕事はあくまで立法府が判断した安全基準に個々の原発が適合しているかを判断するだけであって、その基準を満たした上でなお存在するであろうリスクを許容して発電を進める必要があるかどうかを決めるのはあくまで政治の問題である。

「原子力規制委員会の判断」という言葉は、再稼働の是非に関して科学的な正解があり、政治家ではなく科学者がそれを判断できるかのように錯覚させるレトリックになっている。COVID-19の問題に関しても同じように、「専門家会議」が責任を持っているかのようなレトリックは多々使われている。

福島第一原子力発電所〔PHOTO〕Gettyimages
 

なぜ独立性や公開性が重要なのか

では、そもそもなぜ独立性や公開性が重要なのだろうか。「そんなの当たり前だ」と思う方もいるかもしれないが、現在のように独立性や公開性が揺るがせにされているときには、その重要性を厳密に理解しておくことは重要だ。

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