世は猫も杓子も新型コロナウィルスである。
世界的に見れば日本では死者も決して多くはなく、しかも、ほぼご高齢の方々に限られている(ご冥福をお祈りします)ので、比較的平穏な感じがある。しかし、死者が千人代の後半から、万人越えになってしまった欧米各国はさぞかし阿鼻叫喚の有様だろう。
日本でも、当事者ご本人になんの咎もないにもかかわらず、観光業や外食産業などは、業態としてもはや立ち行かないような状況になってしまい、「人間、生きてさえいればなんとかなる」という言葉が虚しく聞こえるような有様で本当に心が痛い。医療崩壊の瀬戸際で戦っておられる関係者の皆様はいわずもがな。
こういう時に僕らみたいな研究者というのは、あまり役に立たないので歯がゆいことこの上ない。
それでも、世界中の研究者は結構、頑張っている。通常、僕らの研究成果は、査読という名前の審査を経て論文という形で公開されるのだが、最近はプレプリントという「審査前の仮原稿」をインターネット上で公開して情報交換するのが流行りつつあった。
まあ、まともな研究者なら、査読を経ていなくても、だいたいはドンデモかどうかの区別はつくし、この状況だから、審査を経て公になるまでコロナウィルス関係の情報交換を待っているわけにはいかない。
そういうわけで、一気にプレプリントでの情報交換がメジャーになった。世界中でそれこそ数えきれないほどの新型コロナウィルスについてのプレプリントが毎日の様に刊行されている。
しかし、プレプリントの論文の公開が盛んになるにつれて、新たな変化が現れてきた。