「大船渡学」で研究を発表する生徒たち

ロッテ佐々木朗希の母校のユニークな授業が全国の教育関係者から大注目される理由

新しい教育のかたち「大船渡学」の効果【前編】
163キロ右腕、ロッテの佐々木朗希の母校・岩手県立大船渡高校は、実は全国の教育関係者が注目するユニークな教育を2016年から試みてきた。今春にはドラフト1位投手だけでなく、28年ぶりの東大合格者も、学生起業家も誕生した。その名も「大船渡学」。新しい探究型授業の秘密に迫る。

佐々木朗希君の高校!?

2019年春、163km/hを出した高校生が岩手県にいると聞いた。

佐々木朗希君。岩手県の速球派と言えば、菊池雄星、そして大谷翔平。二人とも花巻東高校出身。てっきり佐々木君も花巻東高校かと思いきや、岩手県立の大船渡高校出身とのこと。

 

大船渡高校のある大船渡市は、東日本大震災で大きな被害にあった三陸リアス式海岸に位置する、水産業がさかんな、人口約3万6千人(2019年6月現在)の街である。

NHKの朝ドラで有名になった三陸鉄道が通っていることでよく知られており、風光明媚な自然にも恵まれていて、テレビの旅番組などでもご覧になった方も多いのではないかと思う。アクセス的には、盛岡市から約3時間、一ノ関市からだと約2時間半の距離に位置しており、岩手県の中心都市からはやや不便という印象を受ける。

大船渡高校は、サッカーの元日本代表の小笠原満男さんが在学していた時に全国高等学校サッカー選手権大会に出場し、全国ベスト16に輝いたことで記憶がある方もいるのではないかと思う。

学力的な位置づけだと県内の方にお聞きすると中堅進学校のポジションとのこと。進路をみると国公立大学から専門学校や就職というある意味多様な進路を取っている。地元からは盛岡市内に下宿して高校に通学する生徒もいる。

震災後は、人口流出や少子化の影響も受け、1学年6学級だったのが、4学級に減っている。

大船渡高校

28年ぶりに大船渡高校から東大合格!

その大船渡高校であるが、「大船渡学」というたいへんユニークな教育を実践していることを皆様はご存じであろうか? 2016年から始まった学内での取り組みである。その成果が徐々に形になって出てきていることが、実は最近全国の教育関係者にも有名になっているのだ。

特に、今の高校3年生は、入学時から「大船渡学」に取り組んでおり、28年ぶりに東大合格者が出たり、プロ野球のドラフト1位といった華々しい結果にもつながったようである。

「生徒の『自走』する力をつける」教育が大船渡学である。

これだけでは何のことかわからないだろう。この謎をこの文章では解き明かしていきたいと思う。