コロナ危機、アメリカ「3兆円規模の教育政策」に不満が噴出するワケ

日本は何を学ぶことができるか
畠山 勝太 プロフィール

もう一つの注目の収入源は収入の約6分の1にもおよぶ「Auxiliary」である。これが何かというと、大半は寮と食堂からのあがりである。

各大学が秋学期を対面授業で再開しようと躍起になっている主な理由はここである。授業がオンラインになると、寮と食堂からのあがりが飛ぶだけでなく、寮と食堂の維持費用はかかり続けるので、大学財政の5分の1近くが吹き飛びかねない事態となる。

そして、収入の10%程度を占める基金の運用益も、これだけ市場が荒れると、かなり厳しいことになることが予想される。

このように、新型コロナは金融危機とは異なり、中国人留学生・寮・食堂という米国の大学の打ち出の小槌を直撃してくるので、トランプ政権がオバマ政権の60%程度の過少な資金量で高等教育支援を行うというのは、米国の大学産業にとって致命傷となる可能性が高い。

貧困層の学生に対する手厚い支援

では、この大学向けのCARES(HEERF)が何をするかであるが、少なくともその半分は学生への緊急支援金としなければならないが、これには興味深い点が2つある。

一つは、ほぼ全ての米国人学生は景気刺激策として1200ドルを受け取っているが、困窮している学生はこれに加えてHEERFから支援金を受け取れ、貧困層の学生に対してかなり手厚い支援がなされている点だ。

もう一つは、このHEERFは留学生やDACA(幼児不法入国者、強制送還を特別に延期されている)は対象となっていない点である。

留学生は景気刺激策の1200ドルも受け取っていないことを考えると、トランプ政権のAmerica Firstには海老で鯛を釣るという発想がないことが理解できる。

キャンパス内の中国人留学生達を捕まえて話してみると、キャンパス内での扱いから自分達は金づるに過ぎないという認識が広まっているのだが、トランプ政権の対応はこれを強化してしまうだろう。

残りの半分は、コロナの影響を緩和する為であれば何に使っても良いとされており、大学スポーツの施設に使ってはいけないといった規制はあるものの、これも自由度の高い資金となっている。資金の使い道は大学によって様々だが、オンライン授業導入のための研修コストなどに充てられているようである。

しかし、MSUの場合これを1500万ドル受け取っているが、これはMSUの年間収入の0.5%程度の額にしかなっておらず、やはり新型コロナ危機における大学支援の額としては不十分な額にしかなっていない。

 

話はそれるが、ハーバード大学もこのHEERFを受け取る権利があり、実際に申請したが、トランプ大統領をはじめ、政治家・メディアから、なぜハーバードのような豊かな大学がHEERFを受け取ろうとするのだと大バッシングを受けた。米国にも日本同様、いやむしろ日本以上に強い、空気を読めという圧力が存在している。