認知症の親が死を望んだならば…安楽死をめぐる家族の「厳しい選択」

小説『終の盟約』超高齢化社会のリアル
楡 周平 プロフィール

死ぬに死ねない社会は喜ばしいものではないですし、「いっそ死なせてくれ、早く楽にさせてくれ」というのが本人の意志なら尊重してあげるべきではないでしょうか。今後、寿命は天寿をまっとうするものではなく、「自分がどこで自分の人生に決着を付けるか」になっていくのかもしれませんね。

―後半は、久の遺産、各家庭の経済状況、子供の仕事といった諸問題が噴出、兄弟それぞれの想いが浮き上がります。

遺産相続なども、この歳になると実際に見聞きする話が多くなるものです。遺産は、兄弟姉妹間でなら案外すんなり決着しやすい。そこに各人の配偶者が絡むと、揉めてしまう傾向がある。配偶者が「あなたは騙されている」「取れるものは取れ」などと裏から口出しをするんですよ、絶対に(笑)。世間でよく聞く話が、この一家にも起きていきます。

―本書では、人の死について様々な角度から深く考えさせられました。ところで、ご自身にとっての「理想の最期」はありますか。それはどのようなものですか。

私自身も延命治療にこだわったりはしません。楽に逝かせてもらいたいと思います。作中にも書きましたけれど、ガンは余命がわかる点、家族の負担や期間に目処がつきやすい点、末期の治療を選択できる点で「優しい病気」かもしれません。

余命宣告を受けた時点で、写真や服や書斎にあるもの一切合切、きれいさっぱり始末して逝きたいです。生きた証しをすべて葬り去っての死、それを私も望んでいます。
(取材・文/窪木淳子)

『週刊現代』2020年4月25日号より

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