4月23日、ラジオ番組で岡村隆史さんがコロナ禍で風俗に行けないという読者の悩みに答える際、「コロナが収束したらきっと楽しいことがあります。短期間ですけれど(お金稼ごうと思って)美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」という内容の発言をし、30日の深夜放送の番組内で謝罪をしました。セックスワーカーの様々な背景に対する思いやりの欠如や、職業に対する差別的言葉だとして問題になりました。

発言内容におおいなる問題があるにせよ、でもこれは、岡村さん一人の問題なのではなく、ある意味で日本のジェンダー意識の現状が浮き彫りになったこととも言えます。女性に対する考えを改めると何度も謝罪を口にする岡村さんの姿から、むしろ多くの人に「気づき」があったことを祈ります。そして、岡村さんの降板署名や攻撃ではなく、いま大切なのは、それをきっかけにして、誰もが誰かを軽んじてはならないということや、誰もが自分を誇らしく思って大切にしていいということを認識することではないでしょうか。

さて、現在風俗業界で働いている椎名こゆりさんが立ち上げたサイト「good luck, sweetie」は、孤独を感じる状況に立たされやすいセックスワーカー女性たちに向けてつくったもので、そこには「Stay health, stay safe, and be sweet to yourself」というサブタイトルがつけられています。――「健康でいて、安全でいて、そして自分に優しくして」。とても大切なメッセージです。

このサイトに、椎名さんが5月1日に公開した記事が「風俗で働こうかと迷ってる女の子のことを考えて書いた」。4月初めから書き始め、岡村さん発言後の騒動を受けて書き上げたであろう文章は、自身が体験しているからこその心からの声があります。そして、風俗業界といった限られた職業だけではなく、誰にとっても大切なメッセージでもあります。ご本人が加筆修正をした文章をこちらに掲載させていただきます。

以降、椎名こゆりさんの原稿をご紹介します。

この仕事はめちゃめちゃ
感染リスクが高いです

さまざまな事情で仕事を失ってしまう事態に見舞われている人が増えているときいて、セックスワークという選択肢を検討している人もいるだろうな、と思いました。
こんなことはわたしが言うまでもないんだけど、この仕事はめちゃくちゃ感染リスクが高いです。はい知ってる。全員知ってる。そして、現在この業界はそれなりに混乱中です。入ることが良い選択だとはとても言えないのもそれもそうですし、入れない、ということも起こりえます。たぶんそれもみんな知ってますね。

わたしのいる東京23区内では、休業しているお店もあれば、開いているお店もあります。開けてはいるけれど新人さんの採用を見合わせている、というお店もあります。もともといる女の子たちが出勤を控えたため人手が減ってしまって誰でもいいから来てほしい(ただし一人当たりの稼ぎはうんと少ないけど)となっているお店も、中にはあります。いろいろです。

新しい女の子を迎えることはお店にとって大事なのですが(新人さんが入ったならどんなタイプの子であれ一度は会いたいな、と思うお客さんがどの店にもいるのでわあ、なんかめっちゃキレイな書き方しちゃったぞ)、それを切り捨てるような店もある状況、ということです。

ものすごくものすごく悩んで、勇気を出してこの業界に飛び込んだのに、面接で落ちたり、どこかに入店できても想像していたような収入を手にできず「ここまで覚悟を決めても、私の人生ダメなんだ」というすさまじく辛い気持ちを持たされてしまう人がいたらめちゃくちゃ辛いな、なんて、勝手に想像しては勝手に心配しています。

Photo by iStock