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# 資本主義

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おもしろい経済の話

私たちはいま、資本主義が当たり前の世界に生きている。しかしそれはなぜか、と考えたことはあるだろうか? もちろん、その根本にあるのは、人の欲望。「もっとカネを稼ぎたい」「豊かになっていい生活がしたい」という欲望が資本主義を拡張させてきたのは確かだ。

しかしそれだけだろうか? じつは時代、国によっても資本主義を駆動させてきた力は違っていた。話題書『現代経済学の直観的方法』からその力とは何かを見てみよう。

「金儲け」以外で資本主義を駆動させている原理とは

現代の資本主義経済を駆動させている最大の力が何かといえば、無論それは人々の金儲けに対する欲求である。

 

しかし恐らくそれだけではない。例えばオーストリアの経済学者のシュンペーターの有名な言葉に「資本主義とは、金儲けを目的とせずに働く少数の人間の存在によってのみ支えられる、金儲けのためのシステムである」というものがあるが、実際過去において国家が積極的に熱心に資本主義を導入せねばならなかったことの背景には、そうしたもっと公の価値や国家全体に関わる、単なる個々人の欲望以上の理由があり、またそうだからこそ現代社会は資本主義を手放すことができないのである。

では現代社会が資本主義を手放せない理由とは具体的に言えばどういうことなのだろうか。ここではそれを三つの要素にまとめてみよう。

軍事力の基盤を確保するための資本主義

まず一つめが軍事力の基盤を確保するための資本主義。

これを代表するのは、(特に20世紀初頭までの)英国である。英国は16世紀以来伝統的に、大陸側の巨大な陸軍国―それは時にスペインであり、フランスであり、そしてドイツ、ロシアであるに対し、海軍力を用いてそれに対抗するということを国家の指針としてきた。

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ところが一般に海軍力というものは、兵士の勇猛さよりも艦艇の建造費が重要になるのであり、経済力に依存する面が強い。そしてマンパワーの少ない英国としては、そうした技術力の優位によってしか大陸側の陸軍国に対抗できなかったため、その国防力の基盤としての経済力には、他の国よりも切実な関心を払わざるを得なかったのである。

実際アダム・スミスの『国富論』には「国防は経済に優先する」という言葉がたびたび登場し、またそれは政策当局者にとっての共通認識でもあった。そのため、たとえある人物の事業の動機が露骨な金儲けであっても、それが英国経済、ひいては海軍・国防予算の確保に役立つものである限り、英国政府はしばしば積極的にその後押しを行ったのである。