誕生秘話!「ディープラーニング」を成功に導いた「信じつづける」力

冬の時代を耐え抜いた先駆者の熱き想い
金丸 隆志 プロフィール

そのきっかけとしては、層の深い(ディープな)ニューラルネットワークの学習法に関する2006年の論文と、CNNが2012年の画像認識コンテストで圧勝したことが挙げられることが多く、どちらもヒントンらのグループによる成果です。

ニューラルネットワークを過去の技術とみなす研究者が増えていたなかで、彼らの成功は驚きをもって迎えられました。地道な手法の改善や、巨大なデータを取り扱えるようになったことが、この成功に寄与しています。

ヒントンは2019年3月、前出のルカンや、モントリオール大学教授のベンジオとともに、コンピュータ業界のノーベル賞といわれるチューリング賞を受賞します。ディープラーニングを通して、エンジニアリングの進歩に貢献したことが受賞理由です。

【写真】ヨシュア・ペンジオ
  ヨシュア・ベンジオ(Yoshua Bengio) photo by gettyimages

ディープラーニング、およびそれをもとにした人工知能技術に対して、「人間性を欠いた、冷たい技術」と感じている人も多いかもしれません。

しかし、その技術の発展の背後に、脳に学んだ情報処理の可能性を長期にわたって信じつづけた研究者たちの熱い信念があったことを知れば、これらの技術をより身近に感じられるのではないでしょうか。

ディープラーニングは高校数学で理解できる

摩訶不思議で謎めいた技術であると思われがちなディープラーニングですが、本稿でも登場した誤差逆伝播法やCNNなどを支える技術の多くは、高校で学ぶ範囲の数学で理解できます。その数学を学べば、また別の形でディープラーニングを身近に感じられるでしょう。

【イラスト】ディープ・ラーニングは高校レベルの数学で理解できる
  謎めいた技術であると思われがちなディープラーニングだが、高校で学ぶ範囲の数学で理解できる illustratinon by gettyimages

たとえば、1個の人工ニューロンのはたらきは、高校で学ぶベクトルや内積の概念を用いて理解できます。ニューロンを複数つなげたニューラルネットワークに学習させる際には、関数の微分の考え方が用いられます。

また、CNNの基礎となっているのは、画像処理ソフトウェアなどでも使われる「フィルタ」という概念であり、その理解に高度な数学は必要ありません。

このように、シンプルな数学に支えられながらも、画像認識や音声認識のように高度な応用が生まれるところに、ディープラーニングの面白さがあると言えるでしょう。

高校数学からはじめるディープラーニング
初歩からわかる人工知能が働くしくみ

ディープラーニングを支え、ベースとなっている数学に焦点をあて、どのような仕組みで、どのように効いて、なぜ機能するのかの解説。「ブラックボックス」と思われがちなディープラーニングを支える数学の知識を学んでいきます。

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