「ポジティブな文句を言う」ことが問題発見のコツ

『問題発見力を鍛える』vol.12
細谷 功 プロフィール
 

問題とは何から生じるのか?

しばらく「問題とは変数である」という視点から問題の発見の仕方やその解決の仕方について考えてきました。ここでさらに「問題とは?」という問いをさらに掘り下げて別の視点から「そもそも問題とは何から生じるのか?」という観点から論じてみたいと思います。

まず私たちが日常「問題が起こった」という場合、ほとんどは否定的な意味合いではないかと思います。ファミリーレストランでお客が怒っているとか道路に穴が空いているといったものです。

そこでの「否定的」というのは何に対してかというと、これも最もあるパターンは「通常時」つまり「何も起こっていない平常な状態に対して」ということになります。つまりこの場合における問題は「通常時と異常時のギャップ」ということになります(図の左側)。

これを少し応用すれば、ギャップはポジティブな側でも良いことになります(図の右側)。これが「もう一つの問題」の定義です。つまり、「いまよりも良くなった状態」(あるべき姿)を思い浮かべてその状況と現状との違いを「問題」として定義するというものです。

これらを比較してみると、前者というのは「クレームが発生している」とか「穴が空いている」とか「機械が動かない」という形であえて頭を使って考えなくても簡単に発見できますが、本連載であえて対象とするような問題発見というのは後者の方です

それは、将来あるべき姿というのは、想像力や創造力といった思考力を使ってあえて考えないと現れてこないからです。レストランの机上のアンケートに「料理が出てくるのが遅い」「スープが冷めていた」「テーブルが汚れていた」等という「ネガティブな問題」を書く人は多いでしょうが、そこに「こうすればよくなる」という要望を書く人はそれに比べれば圧倒的に少ないでしょう