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「ポジティブな文句を言う」ことが問題発見のコツ

『問題発見力を鍛える』vol.12
「問題解決」よりも「問題発見」が重要になっていく時代に必要なことは何かを考えるコンサルタント・細谷功氏の連載『問題発見力を鍛える』。第12回の今回は、「問題」とは何なのか? という問いから「問題を見つける」際に必要な心構えを解説します。
 

問題を解決するためには変数を固定して絞り込む

問題とは「変数」であり、問題発見とはその変数を探し出すことであるとお話ししてきました。最後に問題発見と問題解決における変数の取り扱いの違いについて比較をしましたが、その補足をしておきます。

問題解決においては変数は固定し、しかも数は少ないに越したことはありません。変数の数というのは問題の複雑さを示し、少ない方が単純であることを意味するので問題を解きやすくするには、問題を固定して少なくすることが重要です。

会社のマネジメントでも多くの人の方向性を合わせて目標を達成するためにはそれを限られた変数にして可視化することが求められます。一部の会社でやられていたような「売り上げを担当別にオフィスの壁に張り出す」とか、工場で言えば「歩留まりや不良率の傾向を分析する」といったことがその象徴です。

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そのような「指標管理」が組織としての問題解決の方法です。ごく単純化していえば、企業の指標としては「株価」あるいはそのための具体的なパフォーマンスとしての「利益」がその代表であるというのは前回お話しした通りですが、ここでも管理形態として「コスト」(という一つの変数)を指標としたコストセンターという概念と、「コストと売り上げの組み合わせ」としての「利益」を指標とした「プロフィットセンター」という概念がありますが、管理の複雑性は変数を増やせば上がってきます。

疫病対策においても「医療システムの維持」と「経済システムの維持」というのは、いわば「ブレーキ」と「アクセル」の関係になります。感染対策が本当に深刻になった場合には、「アクセル」側の変数の優先順位をいったん下げて「ブレーキ」に特化することで問題を単純化することが解決を早めますが、事態が収束してきたのちには再び「アクセル」という変数を増やすことでさらに上位の(経済も含めた)社会システムの維持という複雑な問題に取り組んでいくことが必要になってくるというわけです。