# 新型コロナウイルス

「現金をどんどん配れ!」異端の経済理論・MMTがコロナ不況を救う…?

気鋭の経済学者と会計士がガチンコ対談
前田 順一郎, 井上 智洋 プロフィール

アベノマスクの「貨幣論」

前田 私も霞が関で仕事をしているとき、財務省への対応は大変でした。会社でいうところの経理マンの役割をするだけであれば、借金を気にして「ムダ遣いはやめなさい」と言うのもいいのかもしれませんが、実際には彼らが最終的な政策の意思決定をしているようなところがあります。普通の経理マン以上の役割を担っている財務省が、普通の経理マンのように「借金はいけません」と言うものだから、みんな困ってしまう。

井上 ムダと言えば、一国の経済の中でお金の無駄遣いっていうのはできないんです。お金を使っても石油資源のように消えてなくなってしまうわけじゃないので。誰かの支出は誰かの収入になり、政府の支出も誰かの収入になる。その人がその収入を支出に充てれば、また誰かの収入になる。そうやって、お金が経済の中をぐるぐる回っていきます。「金は天下の回りもの」というわけです。

考えてみれば当たり前のことですが、政治家がそれを意識しないで経済政策を実施したら、大変なことになる。コロナによる今のような危機の際に、無駄遣いはいけないとかいって政府が出し惜しみしたら、個人も企業も死んでしまう。ただし、お金の無駄遣いはできなくても、資源や労力の無駄遣いはできます。10万円一律給付のようにお金を配るだけだったら何の無駄にもなりませんが、アベノマスクを仮に多くの国民が使わないのだとすると、マスクの原材料や郵便スタッフの労力を無駄に使ったことになります。そういう意味でなら、お金を無駄に使ってはいけないという言い方はできます。

photo/gettyimages
 

前田 「貨幣=資本」と捉えるなら、その貨幣をどのように使うか、が重要な問題になるはずです。私の本でも説明しましたが、会計的には、資本は株主のものであると考えられています。会社の経営者は、資本を使って株主が納得するような経営をしなければなりません。貨幣を考える時には、恐らく「株主=国民」と考えるべきなのでしょうから、貨幣は国民の納得がいくような使い方がなされなければならなりませんね。少なくとも多くの国民が、2枚のマスクに貨幣を使ってほしいとは考えていなかったと思います。

インフレに対する懸念についてもお伺いしたいのですが、財政支出に反対する人は、マネーストックが増えすぎると、おカネの価値が下がってインフレになると主張します。

井上 もちろんインフレには気をつけなければいけませんが、長らくデフレとなっている日本でインフレを心配するほうが滑稽です。例えるなら、ずっと栄養失調だった人が、ご飯を食べ出した途端に「肥満になるのでは」と心配するようなものです。

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