# 新型コロナウイルス

「現金をどんどん配れ!」異端の経済理論・MMTがコロナ不況を救う…?

気鋭の経済学者と会計士がガチンコ対談
前田 順一郎, 井上 智洋 プロフィール

どんどん国債を刷ればいい

前田 確かにJGPは興味深い提言ではありますが、「雇用のための雇用」は無駄な仕事を生む可能性がある。極端に言えば、「穴を掘ってまた埋めろ」というような仕事で完全雇用を達成しても、経済成長にはつながりません。じゃあ、意味のある仕事を国が提供すればいいかと言うと、意味がある仕事ならMMTが主張するようにインフレが発生したので今すぐ止めます、とは言えませんよね。

私自身が国土交通省で関空などの民営化の仕事に携わっていた経験から言っても、そんな簡単に政府の仕事を民間に移せるのか、といった実務的な課題もあると思います。これを経済のビルトインスタビライザー(自動安定化装置)に据えるという考えには少し疑問が残ります。

井上 MMTはJGPを提言している点では社会主義的だと批判される一方、政府による人為的なコントロールを否定し、ビルトインスタビライザーに任せようという意味では、まれにですが新自由主義的だと批判されることもある。こういう、「社会主義」とか「新自由主義」というのは、雑なレッテル張りだと思いますが。あるいはまた、MMTの中身をまったく検討せずに「こんな理論は異端だ!」と条件反射で否定する主流派経済学者もいます。

課題はいくつもありますが、MMTは「天動説」に対する「地動説」になり得るかもしれません。新たな考えにはフラットに向き合うべきです。

前田 なるほど。なかなか決まらなかった10万円の一律給付が良い例ですが、コロナウイルスで経済が完全に停滞するなか、政府の消極的な財政支出に多くの批判が集まりました。こういう非常事態において、大規模な財政支出をするのは当然だと思います。その意味でも、特にMMTが財政的な予算制約はないと主張する点については、素直に耳を傾けるべきだと思います。

 

井上 さきほども言ったように、「自国通貨建てで借金をしている国が財政破綻をすることはない」というのは事実。より正確に言うと、財政破綻を避ける手段を持っているということであり、わざと破綻宣言することは可能ですが。いずれにしても、今のような状況下では、財政赤字を気にせずどんどん国債を発行して、国民にお金を配るべきなんです。「お金を配るべき」というのは、MMTの主張ではなく私の主張ですが。

前田 経済がストップして本当に日々の暮らしに困っている人がたくさんいます。先生のおっしゃる通り、とにかく必要なお金を配らなければならない状況だと思います。ただ、どうしても「政府が借金し続けても本当に大丈夫なの?」という意見はありますよね。個人であれば、永遠に借金をし続けることはできないでしょうから、そういう不安の声が出てきます。

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