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突然の「がん告知」…そのショックを乗り越える意外な方法

ネガティブな感情に蓋をしないで
がんを宣告された人は、さまざまな不安や悩みを抱えるもの。日本人の2人に1人が、がんにかかると言われる時代、決して他人ごとではない。『がんで不安なあなたに読んでほしい。』の著者、清水研先生は、これまで4000人以上の患者・家族の相談を受けてきた「がん専門の精神科医」だ。そんな先生に、がん宣告のショックと悲しみを乗り越える方法をアドバイスいただいた。

もしがんを告知されたら?

相談:がんと宣告されたときの衝撃が大きく、気持ちが追いついていきません。治療法やこれからのことをいろいろ決めなくてはならないのですが、呆然としています。
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――がんの告知を受けたとき、頭が真っ白になりました。そのときの記憶がほとんどありません。

そのときの記憶がほとんどないのですね。がん告知により、あくまでも一時的にですが、心が混乱し、思考力が低下するということが、多くの人に起こります。このような心の在り様を解離状態と言います。なぜこういうことが起きるかというと、いっぺんに事実を受け止めるのはあまりにつらいときの、心の防御反応と考えられています。

――私だけが心が弱い、情けない、というわけではないのですね。

もちろんです。告知直後に気持ちが追いついていかない、というのも当然のことです。そして、告知から数日経つと「あぁ、これが現実なんだ」という具合に、多くの方がだんだん実感を持って現実を認識されるようになります。

――たしかに私の場合もそうで、数日経ったら実感が伴ってきました。「あぁ、自分はがんになったんだ」と思うと、悲しい気持ち、やりきれない気持ちでいっぱいになります。こんなときはどうしたらよいのでしょうか。

このとき大切なのは、しっかり「悲しむ」ことなんです。「悲しみ」や「怒り」などのネガティブな感情はよくないものと思って感情に蓋をしてしまう方も多いのですが、それは心理学の観点からはあまりお勧めできません。

 

悲しみという感情は、その人が「大切なものを失った」と感じるときに生じるもので、傷ついた心を癒す力があります。がんになった方の多くは、「健康な自分」を失ってしまったと、大きな喪失を感じます。その中で、気持ちの浮き沈みがあるのは当然のことですし、心の痛みを癒すのにはどうしても時間がかかると思います。

平然とした顔をしなくてはいけないと無理をするのではなく、感じている心をありのまま受け止め、たくさん泣いて、たくさん悲しむことが実はとても大事なことなのです。