看護師は離婚する人が多い?

いまの職場は大病院のサテライトクリニックで、給与・福利厚生などしっかり整っているが、入院施設はないため、夜勤はない。人間関係も良好だった。
看護師って経済的に自立できる仕事だからか、離婚率が高いんです(笑)。それで、職場には離婚経験者が何人も。離婚したばかりのころ『私が死んだら子どもたちはどうなるんだろう』って不安でたまらなかったのですが、先輩に『大丈夫、3年もしたら慣れるから』って言われて。たしかに3年くらいしたら、だんだん心配事がある状態が普通になってきました」

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離婚後、元夫は当時の浮気相手と再婚したが、すぐに破綻したらしい。
「はじめのうちは、子どもに会いたいとかグチャグチャ言ってましたけど、私は会わせたくなくて、父親の権利なんて無視してしまいました。最初の1年は養育費を払ってくれましたが、その後、仕事も放り出してやめてしまったみたいで、いまは消息も知りません」

上の娘は、父親がすぐに再婚したことが許せず、いまもまったく会いたがらない。下の娘は、別れたときまだ4歳だったので、父親の記憶はほとんどないようだ。
「もしかしたら会いたいのかな。父親の話をすると私の機嫌が悪くなるから、二人とも父親の話はしませんね」

「自立」は自分らしく生きるための支え

ここ数年で上の娘が社会人となり、下の娘も高校を卒業したので、暮らしにだいぶ余裕が出てきた。それで最近は、昔から好きだったミュージカル観劇に通いつめている。

「娘たちの完全な自立にはまだ時間がかかりそうですし、まだまだ心配事は多いので、観劇は現実逃避かも(笑)」

みち子さんはいま59歳だから、来年にはいったん定年となる。まだ悠々自適というわけにはいかない。その後の働き方はどうするか。看護師仲間同士で、情報交換し合う日々。

「看護師ってどんな仕事かもあまり知らず、なんとなくのイメージで看護学校に入ったんです。実習中に『白衣の天使』とはほど遠いことに気づいて、愕然としました。何がショックだったかって、人間は排泄する生き物だということ。それはもう、ありとあらゆるところから排泄するんです。それでも、看護師になってよかった。女性が一生、自立して生きていける仕事ですから」

お店がうまくいっていたら、離婚はもしかしたらしなかった「かも」しれない。しかし、介護で大変な時に浮気をした夫と、笑顔でずっと暮らせたかどうかはわからない。さまざまなひずみが「浮気」という形になり、自立していたからこそ、終わりにできたといえるのではないだろうか Photo by iStock