「コロナ離婚」が話題となっている。日ごろはどちらかが職場に行ったり、日中距離があったことで、上手くいってなくてもなんとか暮らしてきたものが、コロナの外出自粛によってずっと一緒にいることになり、不満が顕在化するという理由だ。しかし、ずっと一緒の「自営」という仕事はどうだろう。長く離婚について取材してきた上條まゆみによる連載「子どものいる離婚」、今回は自営業から離婚を決意した女性についてお伝えする。

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我慢せずに済んだのは「手に職」のおかげ

「手に職があってよかった。資格をもっていなかったら、あのまま我慢して生活してたと思います」と、都内のクリニックで看護師として働く佐野みち子さん(仮名・59歳)。

みち子さんは13年前、当時10歳と4歳の娘を連れて離婚した。結婚していたときは、元夫と二人でパン屋を開いていた。離婚と同時に店もたたむことになったが、すぐに就職できたのは、看護師という資格のおかげ。

夫婦で自営業って、24時間ずっと一緒で互いに逃げ場がないんですよ。価値観の違いから不満がどんどん溜まっていって、夫婦仲がギスギスするとお店もだんだんうまくいかなくなって、もうやだな、無理だな、と思ったときに『全部整理しちゃお』って思って実際にそうできたのは、手に職があったからだと思いますね」

職場でも家でもずっと一緒。だからこそいいこともたくさんあるが、価値観の違いが溜まっていくとすべてがうまくいかなくなる Photo by iStock

13年経った今となっては、互いに思いやりが欠けていたかな、という反省もある。みち子さんのほうが年上なので、「こちらが大人になってうまくやっていく方法もあったかな」とも思う。――成人した娘たちと3人でのんきに暮らす今の暮らしに、まったく不満はないけれど。