「医療崩壊」と「第3・4波」の間で

感染症の終息は、人口のある一定割合が感染して免疫を獲得する(集団免疫)か、ワクチンができるかにかかっているといわれる。

ただ、「集団免疫論」には当初から賛否両論あり、イギリスのジョンソン首相が当初、高齢者などのハイリスク集団を除く国民がゆるやかに感染して集団免疫獲得を目指したが、集団免疫を実践した場合のシミュレーションを、ニール・ファーガソン博士を中心とするインペリアル・カレッジ・ロンドンのCOVID-19対策チームが行ったところ、医療崩壊が起こり膨大な死者数が出ることがわかり方針転換したのは有名である※1

生活必需品の買い出しなど絶対的に必要な外出以外が禁止されているイギリス〔PHOTO〕Getty Images

西欧諸国ではロックダウンなどの介入により新規感染者数は鈍化しているものの、制圧に苦戦している国は多い。一方、スウェーデンは積極的なロックダウンを行わず、集団免疫戦略を採用していると報道されている(集団免疫は結果論であって、あくまで医療キャパシティを超えないように感染の拡大を遅延しているのだという報道もある)。日本はその間をとったような戦略で、外出自粛で感染のカーブを緩やかにし、医療崩壊をぎりぎりのところで踏みとどまっている状態だ。

集団免疫を積極的に獲得することのリスクは冒頭で述べたが、自粛や封鎖についても、実はリスクがある。それを解いた瞬間、免疫のない人々に感染が一気に拡大し、新たな感染の波を形成する可能性があるのだ。1918年のスペイン風邪でも封鎖が解かれたあとに再燃が起こっているが、現在の札幌でも、第1波よりも大きな第2波が観測されている。

先述のインペリアル・カレッジ・ロンドンの報告書は、「封じ込めがうまくいくほど、次に来る波が大きくなることがある」と指摘する。また同報告書は、ワクチンができるまでの期間の3分の2は隔離などの政策を続けなければならないこと封鎖の解除と再導入を終息までに何度か行わなければならない可能性に言及している。