5月6日の夜、動画サイト「ニコニコ生放送」の番組に出演した安倍晋三首相とノーベル医学生理学賞 受賞者で京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授のやりとりが大きな注目を集めた。

来年の7月に延期になった東京オリンピックに向けて、治療薬やワクチンの開発を日本が中心になって進めることを安倍首相が告げると、山中教授は、オリンピックには世界中の人が集まり人の大移動が起こるうえ、「それを可能にするだけのワクチン量をあと1年で準備することはかなりの幸運が重ならないと難しい」と懸念を示したのだ。

医師の松村むつみさんも、3月末に東京オリンピックの開催延期が発表された際、同様の考えを記事「東京五輪が『1年延期でも安心できない』これだけの理由」で述べている。以下、同記事に最新の情報を加えてアップデートしたものをお届けする。

世界的に感染終息まで長期化する

緊急事態宣言が出されてからひと月ほど経った5月4日、政府は緊急事態宣言の期限を当初の5月6日から31日に延長した。感染者数の減少が十分ではないこと、また、医療崩壊の可能性が懸念されることが理由だという。

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緊急事態宣言が出されたばかりの4月上旬から中旬にかけては、感染症病床や物資の不足により、救急車や発熱患者の受け入れが困難な施設が増え、医療崩壊が叫ばれていた。しかし緊急事態宣言後、病床などが整備された影響で地域によって医療状況は落ち着いてきている。国内の新規感染者もいま、若干減少傾向にある(潜伏期や発症から検査までの期間を考えると、「緊急期待宣言の効果で低下した」というよりは、「3月末の週末自粛要請の効果」というほうが整合性があるが)。

ただ、だからといって安心していいわけではない。日本をはじめ多くの国はずっと、外出自粛などよって感染のピークをできるだけ後ろにズラすことで一時的な患者数の急増を防ぎ、医療のキャパシティを超えないようにする戦略をとってきたが、この戦略は感染終息までの時間が長期化するのだ。