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コロナ薬・レムデシビル、じつは「過剰な期待」をしないほうがいいワケ

本当に効く? 副作用は? 徹底解説!
村上 和巳 プロフィール

医学専門誌で報告された「中身」

こうした臨床試験の結果を評価する時は、統計学で2つの群の差が偶然で起きた可能性があるのか、偶然ではない差、つまりこの場合で言えば患者に投与されているのがレムデシビルなのかプラセボなのかの違いによって生じたのかを判定する。

ちなみに統計学で2つの群で生じた差が単なる偶然のものではないと認定された場合は「統計学的に有意差が認められた」と表現される。

そしてこの臨床試験の統計学上の検討では、「回復までの期間」については統計学的な有意差が認められ、レムデシビル群の方が短いことが確定したものの、「死亡率」は統計学的に有意差がなかった、つまり死亡率はレムデシビルと偽薬では変わらないと結論付けられたのである。

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実はこのアメリカからの報告が発表された同じ日に中国の国立呼吸器疾患臨床研究センターのグループが237人の重症新型コロナ患者を対象に同じ手法でレムデシビルと偽薬の効果を比較した研究結果を著名な医学専門誌「ランセット」に報告している。これでは偽薬とレムデシビルの症状改善効果に差はないという結果になった。

NIAIDの「回復までの期間は短くなるのに、死亡率は低下させない」との結論に頭が混乱する人もいるかもしれない。

敢えて平たく表現するなら、「重症の中でもより治りそうな人が治るまでの期間は短くするが、死の危険に瀕した患者を死から救うほどの効果はないだろう」ということだ。