# 新型コロナウイルス

コロナ薬・レムデシビル、じつは「過剰な期待」をしないほうがいいワケ

本当に効く? 副作用は? 徹底解説!
村上 和巳 プロフィール

「執行猶予期間」を与える薬

そもそもレムデシビルはアフリカで時折流行し、最大で致死率70%を超えるエボラ出血熱の原因となっているエボラウイルスに効果を示す治療薬としてギリアド社と米陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)が共同開発した化合物。

このため2016年からエボラ出血熱の治療薬として臨床試験が進行していた。

しかし、エボラウイルスに対する治療薬として開発中だったものが、なぜ新型コロナ向けとなったのか? それはこの2つのウイルスに性質上の類似性があるからだ。

photo by GettyImages
 

ウイルスはヒトに感染すると、ヒトの細胞内に自分の遺伝情報を送り込み、これを複製して増殖、つまりウイルスの数を増やしていく。ウイルスはこの遺伝情報をデオキシリボ核酸(DNA)あるいはリボ核酸(RNA)の形で保有し、前者はDNAウイルス、後者はRNAウイルスと呼ぶ。

エボラウイルスはRNAウイルスで、遺伝情報のRNAを複製して増殖し、レムデシビルはこの複製にストップをかける。そして今回の新型コロナウイルスもエボラウイルスと同じRNAウイルスで、試験管レベルの実験では新型コロナウイルスに有効性が示されたため、ヒトに投与しても効くのではないかと考えられたのが開発経緯である。

ちなみにレムデシビルはエボラウイルス、新型コロナウイルスのいずれも直接殺すわけではなく、ウイルスの数が増えないようにする薬だ。そのようにしている間にヒトの免疫機能が復活して残るウイルスを排除する、いわば個々人の免疫回復までの執行猶予期間を与える薬である。

レムデシビル以外でも日本の富士フイルム富山化学が有している新型インフルエンザ治療薬・アビガンを新型コロナにも応用する試みが進行中だが、これもインフルエンザウイルスが新型コロナと同じRNAウイルスに分類され、アビガンがレムデシビルと同じようにRNAの複製にストップをかける仕組みだからだ。