金村義明による野球解説動画「炎のベースボール解説」の第11回。プロ野球選手として18年、チームメイトとしてプレーし、あるいは対戦相手として戦ったなかで、誰が最高の野手だったのか? そのプレーが恐ろしいとまで感じた選手がいたという…。
松井稼頭央のハンパない強肩
——野手で、「こいつの守備はすごかった」という選手は誰でしょう?
金村: 僕は3球団(近鉄、中日、西武)でしかやってないから、それほど多くの選手のプレーを体感したわけじゃないんですけど、一番驚いたのは松井稼頭央ですね。「こんなショートおんのか!」というくらい。
守備範囲の広さと肩の強さ。特に肩の強さはハンパじゃなかったですね。エグかったです。一塁守るのが怖いくらい。

1996年から97年ですかね。松井稼頭央が茶髪でデビューして2年目くらい。僕が西武に移籍したときです。
このときの西武は、慶応出の高木大成が3番バッターでいまして、彼との併用で一塁を守ってました。シートノックのとき、高木大成は年上なんで、稼頭央も遠慮して軽く投げるんですけど、僕のときは、もっと先輩なのに、おちょくって思いっきり放りよるんですよ。
「もう、これは気合入れとかな、顔面当たる!」っていうくらい稼頭央の送球はこわかったですね。
それと、守っていて驚いたのは、イチローの打球の速さですね。
一塁守っておって、ランナー一塁でバッターはイチロー。僕はピッチャーの牽制に備えてベースについて守ってるんですけど、ピッチャーがホーム放った瞬間に、僕は打者イチローの方にダッシュする構えを見せるわけです。
そこに改心の一塁ゴロがきました。グローブ出したんですが、ぜんぜん間に合わず、ボールは足に当たってライトに転がっておりました。足の痛みを堪えながらボールを追いかけるツラさ。

僕の目じゃ追いきれんくらいの球の速さでした。あれからファースト守るのはもう嫌やと思いましたね。