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# 離婚 # 同棲 # 見合結婚

「夫が粗大ゴミにしか見えない…」離婚で幸せになる人、不幸になる人

『離婚の経済学』著者によるエッセイ①
「なぜ人は離婚するのか、離婚したあとはどうなるのか」をテーマに、経済学の視点を交え、さまざまな角度から離婚について深く考える本書『離婚の経済学 愛と別れの倫理』。今回は著者の橘木俊詔氏(京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授)による寄稿を紹介します。

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ますます一般化する「離婚」

日本では1年の結婚数、離婚数がおよそ3対1となった。

これは夫婦のうち、3分の1が離婚するとまでは言えないが、婚姻生活に終止符を打つ人が多い時代となった証拠である。アメリカではおよそ2対1とされ、離婚数は多い。今や世界各国で離婚はごく普通に見られる人生上のイヴェントとなった。

一昔前であれば離婚する人には世間は白い眼を向けたが、今ではほとんど誰も問題にしない時代となった。このたびの『離婚の経済学』では離婚という現象を年齢別に、歴史上から、国際比較上から見て、なぜ夫婦は離婚に走るのか、そしてその結果として何を得るのか、何を覚悟せねばならないのか、何を犠牲にせねばならないのか、などを明らかにした。

 

「三行半を突きつける」

戦前の日本は民法によって「家制度」が規定されていたので、なかなか夫婦は離婚に踏み込まなかった。しかも男尊女卑の時代だったので、夫の不倫は許されるが妻のそれは家の恥としてみなされ、「三行半(みくだりはん)」と称して、妻が一方的に離縁させられたのである。「日本における資本主義の父」と賞賛される、かの渋沢栄一は、妻と妾が同じ屋根の下に住んでいたというから、圧倒的な男性目線の結婚生活だったのである。

戦後民法は改定され、男女平等が名目上は達成されたので、離婚は結婚と同様に両性の合意の下でのみおこなわれるようになった。しかし結婚生活は夫と妻が経済生活をともにするのが原則なので、夫婦のうちどちらの収入が多いかによって結婚生活の成り行きに微妙な影響を与える。専業主婦であれば稼ぎはゼロなので、そのことを前提に夫婦は生活を続ける。

しかし日本を含めてどこの国でも女性、それも既婚女性の働く割合が高くなっているので、経済的に自立できる女性が離婚を考えるようになったのは自然である。もし自分で稼げるなら、嫌な夫と一緒にいたくないと思うのに驚きはない。

現に女性の勤労率が高い旧社会主義国では、ロシアを筆頭にして離婚率がとても高い。女性の勤労率は資本主義国でも高まっていて、多くの国で離婚率が高まっている1つの原因である。経済学者の著者が女性の働く率と離婚率の関係を示したのには、それなりの経済的根拠があることになる。

国際比較上では宗教の効果がかなり重要である。カトリックの国では離婚の禁止が名目上は規定されているが、カトリックの国でも離婚率の高い国は結構あり、宗教の役割は国によってさまざまである。日本はほとんどの人が仏教徒であるが、仏教は離婚について多くを語っていないので、宗教の効果はほとんどないと考えてよい。むしろ名目上は仏教徒であるが、実質は無宗教の日本人が多いので、日本では宗教のことは無視してほとんど問題はない。